モデル県(オルホン県とボルガン県)で小児救急に関する研修開催

2016年2月5日

本プロジェクトでは、モデル県を設定し医療従事者向けの卒後研修システムを強化することを成果のひとつとしています。そこで先日、モデル県として正式に承認されたオルホン県とボルガン県で、JICAプロジェクトによる初めての研修会が開催されました。小児救急の専門家である井上医師により、「小児救急初期診療において重症患者を見抜く要点」というタイトルで、医師と看護師を対象にした講義が行われました。小児救急においては軽症患者が大多数であるなか本当に重症な患者を見逃すことなく適切に初期対応をすることが重要になります。ポイントとなる症状について動画を使いながら進める講義形態で、地方の医療従事者にとって大変分かりやすく有意義な研修会になったと思います。 質疑応答では小児診療において日常直面する疑問また不安の声も聞かれ、改めて1次2次医療施設における小児救急研修の重要性を認識しました。

この間、井上専門家の派遣にあわせ、保健スポーツ省主催で小児救急に関するカンファレンスも開催されました。 保健スポーツ省の救急部門、母子保健センターなどから小児救急に関わる医師が多数参加し、活発な意見交換が行われました。井上専門家は日本の小児救急医療が抱える課題について発表しました。保健スポーツ省からもモンゴル国での小児救急に関する現状について紹介があり、その後総合討論を行いました。討論では、JICAプロジェクトへの期待、特に今後開催する研修内容についての希望も多く聞かれました。また3次医療施設である母子保健センターの医師たちが1次または2次レベル施設の医師、看護師への教育に積極的に関わりたいという意思があることも確認できました。

プロジェクトでは小児救急を重点科目のひとつとし、母子保健センターの医師とともにパッケージ化した研修を作成、指導医の育成も行いながらモデル県を中心に地方で研修を実施していきます。

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ボルガン県での井上信明医師による講義の様子

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小児救急カンファレンスの様子