感染症のクレディット研修

2017年5月8日

当プロジェクトは医師の卒後研修を強化することを目指して、さまざまな活動を実施しています。卒後の継続研修を強化することも質の高い医療を実現するために重要な課題です。

モンゴル国の医師は医師免許を更新するために、毎年計6単位(クレディット)分の研修を受講することが義務付けられています。1単位を得るには約8時間の研修を受講することが必要で、単位が与えられる研修をクレディット研修と称しています。当プロジェクトでは質の高いモデルとなるクレディット研修パッケージ開発とそれを使用した研修会実施を活動に含めており、これまで救急患者のアセスメントと救命処置研修、小児一次救命処置研修、教授法を主とした指導者育成研修を実施してきました。

最近、感染症に関するクレディット研修パッケージ開発を進め、それをもとに当プロジェクトのモデルサイトであるオルホン県とボルガン県で研修会を実施しました。テーマは「最近世界において注目されている感染症、保健衛生上重要度が増している感染症(Infectious Diseases with Growing Concern in the World:emerging health priority in infectious diseases)」で、このテーマのもとに5つのトピックス(感染症の動向、新興再興感染症、主要感染症、院内感染、インフルエンザ)から構成し、1単位のクレディット研修としました(約8時間の研修)。最近世界的に注目されている感染症をモンゴルの実情を考慮しつつ講義内容を構成しました。日本の経験例やプロジェクトチーフアドバイザーがこれまでにこれらの疾患の診療や対策で経験した事例なども含めました。

参加者はオルホン県、ボルガン県の医師各58名と60名で、小原チーフアドバイザーが講義を行いました。クレディットなしの講義に比べ、受講生の熱意が高いことが実感されました。地方では研修会を受ける機会が非常に少ないのが実情で、本クレディット研修は参加した医師らにとって貴重な機会であったと思量されます。今回の経験をもとに今後研修内容を改善し、講義スライド、テキスト、参考資料、評価シート等からなる研修パッケージとして完成させる予定です。

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感染症研修会、小原CAによる講義