総合診療医育成のためのカリキュラムが、モンゴルにおける標準カリキュラムとして承認されました!

2018年5月11日

5月11日、保健省開発委員会が開催され、プロジェクトが作成を支援してきた総合診療医育成のためのカリキュラムが、モンゴルにおける標準カリキュラムとして承認されました。

地域における医療の質の低下が問題となっているモンゴルでは、地域で活躍する医師を育てることが喫緊の課題です。2016年の法改正後、モンゴルでは医師の卒後研修が必修化されました。また昨年の大臣令により、卒後臨床研修を実施する病院や指導医の基準が定められました。プロジェクトでは、これらの基準作りに技術的な支援をしてきましたが、さらに活動の一つとして、医師の育成に必須となるカリキュラムの開発支援にも取り組んできました。

昨年9月頃よりワーキンググループが作られ、保健省、保健開発センター、モンゴル国立医科大学、各研修病院のメンバーたちが議論を重ねました。さらに地域の声を聞くために、オルホン県やドルノド県、またウランバートルの地区病院の先生たちにも議論に参加いただき、20回以上のミーティングを行いました。今年1月には医学教育の専門家を日本から招き、カリキュラム開発を目的としたセミナーも開催しました。およそ半年の期間を経て、モンゴル各方面のステークホルダーと日本人専門家の英知を終結させ、ようやく総合診療医育成を目的としたカリキュラムが完成しました。

カリキュラム作成に関わった医師たちもオブザーバーとして参加して開催された保健省開発委員会では、プロジェクトから開発の経緯(図1)、モンゴル側の代表者であるモンゴル医科大学医学教育学のBattogtokh先生がカリキュラムの概要(図2)、そしてこのカリキュラム開発の過程に深く関与された徳島大学医療教育教授の赤池雅史先生より、本カリキュラムの意義について説明がなされました(図3)。その後質疑応答があり、保健省Sodnomjamts事務次官(代理)や行政管理局Tsogtbaatar局長など委員会のメンバーから、カリキュラムの内容を支持するコメントを得ることができました。言葉の微修正は必要ですが、モンゴルの人たちが作成した、地域での総合診療医育成を目的とするカリキュラムが完成し、正式に国の標準カリキュラムとして承認されました。

世界標準に則り作成されたこのコンピテンシー基盤型カリキュラムは、国が理想とする医師を育成すること、またモンゴルの全ての県で利用することができるカリキュラムを目指しています。いよいよ今年10月から、プロジェクトのモデル県であるオルホン県において、モンゴル初の地域での卒後臨床研修が開始される予定です。委員会の場でも、地方で開始される研修に対する期待の声が聞かれました。プロジェクトでは、今回のカリキュラムを元に、実際に効果的な研修を実施することができるよう、さらに現場レベルで必要とされる支援をしていくことを考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1.井上CAより、カリキュラム作成過程について説明

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図2.Battogtokh先生よりカリキュラムの概要を説明

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図3.赤池雅史先生より本カリキュラムの意義について説明

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開発委員会のメンバーとカリキュラム作成に関わったモンゴルの医師たち