モンゴル初の指導医養成研修全国大会が開催されました

2018年5月21日

5月14日から16日、モンゴルで初めてとなる指導医養成研修(TOT研修)全国大会が、モンゴル国保健省の講堂において開催されました。

良い研修を提供するためには、指導医の育成が必要です。そのためプロジェクトでは、2016年から中島宏昭先生、高橋弘明先生の協力を得て、TOT研修を実施してきています。これまで10回以上のTOT研修が、ウランバートルおよびモデル県のオルホン県で開催され、250名を超える指導医を育成してきています。

モンゴル国保健省は、今年10月にオルホン県で、そして数年後には全県において総合診療研修を開始することを計画しています。そのために各県の県病院・地域診断治療センターが、研修病院として指定を受ける必要があります。そして研修病院の指定基準には、このTOT研修を受講した指導医が配置されていることが、大臣令で定められています。

今回のTOT研修全国大会は、この全県への指導医配置を目指した最初の試みになります。半年以上前から、保健省、保健開発センターの担当者と協議を重ね、準備してきました。そして今回、モンゴル全土から64名の参加者を集め、中島先生、高橋先生に加え、自費で参加くださった齋藤宣彦先生、堀内三郎先生、そして12名のモンゴル人ファシリテーターの協力を得て、TOT研修全国大会を実施することができました。

通常TOT研修は24名で行いますが、これだけ多くの参加者を集めて行う研修は初めてのことで、入念な準備が必要でした。しかし、保健開発センターと研修病院の研修部の担当者、そしてモンゴル人ファシリテーターたちが積極的に研修運営に参加し、無事成功に導くことができました。また必要経費のほぼ全てを、モンゴル側が負担したことも特筆すべきことです。

全国大会終了後、ファシリテーターの一人が、「これは自分たちの研修だと思う。もっと自分たちの力で広めることができるようにしたい。」と発言しました。プロジェクト開始時からタネを蒔き育ててきた研修が、モンゴルの大地に根を張り、花が咲き、いよいよ全土に飛散して行く気運を感じました。終了後満足した顔で帰路につく参加者たちを見て、プロジェクトとして全土に散ったタネがしっかりと育つよう、フォローを続ける必要も感じました。引き続き、質を担保しつつ、良い指導医を全国で育てる仕組み作りに取り組みます。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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参加者の集合写真(チーム1の32名と日本人専門家、ファシリテーター)

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参加者の集合写真(チーム2の32名と日本人専門家、ファシリテーター)

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グループ討議の様子。その場であったばかりの参加者たちが意気投合して議論している。

【画像】8人で1つのグループを作り、合計8グループが同時にグループ討議をした。各グループにモンゴル人ファシリテーターが1、2名つき、サポートした。