総合診療研修に用いられる、研修医手帳が開発されました

2018年7月2日

6月20日から6月28日、日本人専門家を招き総合診療研修に用いられる、研修医手帳開発ワーキンググループの活動が実施されました。

プロジェクトでは、約半年ほどの時間をかけ、総合診療医を育成するための標準化された研修カリキュラムを開発しました。このカリキュラムでも研修医の評価について言及されていますが、今回は研修医の評価に用いる研修医手帳を開発しました。

これまでもモンゴルの研修病院では研修医手帳が利用されてきていましたが、内容は標準化されておらず、単に研修記録として利用されていたものもありました。今回開発された研修医手帳は、すでに開発されたカリキュラムの内容とリンクさせ、モンゴルにおける総合診療医に必要とされるコンピテンシーを評価する評価ツールを盛り込みました。

ワーキンググループには、保健開発センターやモンゴル国立医科大学のメンバーが加わり、日本人専門家の指導のもと活発に議論を交わし(図1)、極めて先進的な内容を取り込んだ研修医手帳が完成しました。

手帳が完成した後、研修医を評価するために、評価ツールを具体的にどのように用いればよいかについて学ぶワークショップも開催されました(図2)。参加者にとっては、これまで聞いたことがないような内容も含まれていたため、内容が難しすぎたと言う意見もありましたが、研修医指導を再現するロールプレイなども行い(図2)、研修医を評価する意義がよく理解できたという意見が多く寄せられました。

研修医手帳は、今後さらにその内容が吟味され、最終的には保健省の承認を得る予定です。それによりモンゴルで総合診療研修を受ける研修医たちが、同じカリキュラムを利用し、同じ評価基準で評価されることになります。

プロジェクトでは、今年秋から地方での卒後臨床研修が開始できるよう、さらに支援を続けます。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1.研修医手帳開発ワーキンググループでは、活発な議論が交わされました

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図2.研修医評価ワークショップでは、ロールプレイなどを通し、研修医評価の現場を疑似体験しました