モンゴルの地方でモンゴルのファシリテーターによるTOT研修が初めて開催されました

2018年9月7日

2018年9月5~7日、プロジェクトのモデル県であるオルホン県にて、モンゴルのファシリテーターだけで実施する教授法に関するTOT研修が、初めて開催されました。

本プロジェクトでは、日本の臨床研修指導医講習会をモデルに、モンゴルにおける指導医を育成するため、TOT研修を開発し、実施してきました。これまですでに300人を超える指導医を育成してきており、また首都ウランバートルでは、モンゴル人だけでこの研修を実施できるようになっています。今年5月には、モンゴル全土から64名の参加者を得て、TOT研修全国大会も開きました(プロジェクトニュース2018年5月21日参照)。

本プロジェクトのモデル県であるオルホン県の地域診断治療センター(RDTC)では、今年の10月より、必修化された医師の卒後臨床研修が、モンゴルで初めて開始される予定です。研修は1つの病院で完結させるのではなく、周辺の様々な特徴のある病院と病院群を作って研修環境を提供することで、研修医が様々な側面から地域の医療を学ぶことができるよう計画されています。今回は、オルホン県RDTCと病院群を作る各病院に指導医を育成する必要性が判明し、主にオルホン県内の病院を対象にTOT研修が企画されました。この地で開催された過去2回のTOT研修は、いずれも日本人の専門家の助けを借りて実施されましたが、今回は準備や研修の実施だけでなく、費用の負担もすべてモンゴル側が担当し、開催することができました。

前日夜遅くまで準備をしていたファシリテーターたちは(図1)、当初表情が硬く、余裕がありませんでしたが、研修が進むにつれ、自信に満ちた顔になっていきました(図2)。これは受講生も同様で、当初はぎこちない様子でしたが、理想の医師像や研修医指導における指導医の役割などについて活発に議論を交わすうちに、どんどん顔が輝き、指導医としての自覚が芽生えていっていることがわかりました(図3)。

本プロジェクトは、TOT研修の質を保ちながら全国に展開させ、モンゴル各地に未来のモンゴルの医療に貢献する医師を育てる人作りに取り組んでいます。多くの地域で、同じ志を持つ指導医たちが一緒に育っていくことができるよう、さらに活動を続けたいと思っています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1.研修前日の練習の風景

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図2.研修修了時のファシリテーターたち。笑顔がその充実感を物語っています。

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図3.参加者一同

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図4.今回は研修中のお菓子にも趣向が凝らされていました。

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図5.「オルホンにおいて指導医となった皆さん、おめでとう」と書かれたケーキ。