看護師も対象に含めたTOT研修が初めて開催されました

2018年10月11日

2018年10月9~11日、日本人短期専門家の協力を得て、モンゴルの看護師も対象に含めたTOT研修が初めて開催されました。

本プロジェクトでは、日本の臨床研修指導医講習会をモデルに、モンゴルにおける指導医を育成するため、TOT研修を開発し、実施してきます。これまですでに15回近く研修が実施されており、400名を超える指導医が育成されてきています。

これまでのTOT研修は、指導医の要件を満たした医師を対象に実施してきましたが、TOT研修の評判を聞いたモンゴル国内の看護師たちから、同様の研修を看護師対象にも実施して欲しいと要望を聞いたことが、今回の企画の発端です。そこで、「若い医師を育てる」という従来のテーマのTOT研修研修に、看護師が加わる形でパイロット研修を企画しました。

今回の研修には、15名の指導医候補に加え、9名の看護師に加わっていただきました。当初、医師と看護師は同じグループにすべきではない、という意見が強くありました。でも、中島医師、高橋医師(日本人短期専門家)より「医師を育てるのは医師だけではなく、看護師を含む医療専門職の皆さんが関わることです。だから、同じテーマを共に考える仲間として、医師と看護師を同じグループにしましょう」と説明いただき、医師5名、看護師3名、合計8名のグループを作り、グループ作業を行いました。

グループ作業開始当初、参加者たちはぎこちない様子でした。参加者の初日の意見のなかにも、医師と看護師が一緒に研修することに対する否定的な意見が、複数含まれていました。しかし改めてファシリテーター間で意思を統一し、参加者全員が議論できるよう仕向けたところ、最終日には「医師と看護師が同じグループになって協議することで、お互いの考えが分かり合えた」、「若い医師を育てるために、看護師にも果たすべき役割があることがわかった」と、成果として期待していた意見を聞くことができました。

モンゴルでは、医師と看護師の立場が日本の状況と異なるため、医師と看護師が同じテーブルで協議するという機会が皆無であると聞いています。現時点では、医師の卒後臨床研修がプロジェクトの主なターゲットです。しかし今後、丁寧にモンゴル側の要望を聞き取り、医師の育成に欠かせない役割を果たしている看護師を含めた研修に対応することも検討したいと考えています。そのために必要な議論を継続したいと思います。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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医師と看護師が一つのテーマで協議している様子(机の周りに立っているのはファシリテーターたち)

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研修参加者一同(前列中央が保健開発センターのセンター長)