総合診療研修で用いられる、研修マニュアルの作成が始まりました

2018年10月18日

2018年9月23-10月19日、国立国際医療研究センター国際医療協力局より大原医師を招き、総合診療研修で利用することを想定した研修マニュアルの作成が行われました。

本プロジェクトでは、医師としての基本を築く研修である総合診療研修の実施を支援してきています。そのために必要な研修カリキュラムの開発や研修医手帳の開発が行われました。ただ研修の現場では、研修医が手にとって参照する研修マニュアルが必要です。今回、小児科専門医である大原医師を招き、総合診療研修が実施される予定のオルホン県地域診断治療センター(RDTC)の小児科医たちと、小児科ローテート中に研修医が利用できる研修マニュアルを作成しました。

マニュアルの作成に際し、国の標準カリキュラムとされている総合診療医育成のためのカリキュラムと密にリンクさせること、また国内ですでに利用されているWHOのIntegrated Management of Childhood Illness (IMCI)を活用することを心がけました。また、一次施設で勤務することになる医師たちに役立つものにするため、専門医に紹介するべきポイントなどを説明するようにしました。大原医師は支援役として全体のコーディネートに専念し、オルホン県RDTCの小児科医たちと連日顔を合わせ、2週間以上活動を続けました(図1)。その結果、100ページにも及ぶ研修マニュアルの原案が完成しました。

最後の活動報告会では、オルホン県RDTCの院長が「研修医マニュアルを作成するという初めての試みにチャレンジした結果、小児科医たちが指導医として大きく成長した」と感想を述べられました。研修医のための活動を通し、地域の小児科医の人材育成に関わることができたことは、私たちにとっても大きな成果でした。

完成されたマニュアルは、今後総合診療研修が実施される国内機関で広く利用できるものにすることを考えています。そのため、保健省内の専門委員会(小児科)のメンバーにも研修マニュアルの意図を説明し、調整を行なっています(図2)。

今回のマニュアルが、モンゴルの医師たちの役に立つものになるようであれば、プロジェクトでは、今後産婦人科など別の診療科の研修マニュアルの作成にも取り組むことを考えています。地域で診療する医師たちの役に立つものができるよう、支援を続けたいと思います。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1.大原医師(左端)とともにマニュアル作成に取り組むオルホン県RDTCの小児科医たち

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図2.保健省専門委員会のメンバーにマニュアルの意図を説明