母体救命をテーマにしたパイロット研修が実施されました

2019年1月23日

2019年1月22日、妊娠中の母体に発生しうる緊急事態に対応する方法を学ぶ研修のパイロット版が、モンゴル国立母子保健センターにて実施されました。

この研修は、もともと日本の産婦人科医や救急医たちが、標準的な母体救命法の普及のため、協力して開発した講習です。その内容が、JICAの周産期医療に関する課題別研修でモンゴルから参加した研修員に指導されていました。今回は、その研修に参加したモンゴルの産婦人科医たちを中心に、1ヶ月ほど前から準備を重ね、正式に継続研修として実施できるようになることを目的に、まずパイロット研修を実施しました。準備に際しては、国立国際医療研究センター国際医療協力局から派遣されていた、赤羽医師(産婦人科専門医)が技術的な部分を支援してくれました。

研修では、妊産婦が陥る可能性のある緊急事態における病態の解説や標準的対応方法が講義され、続けてマネキンを用いた手技やチームでの対応方法に関する練習を繰り返しました。今回のパイロット研修には、ウランバートル市内の地区病院の産婦人科医や家庭医たち10名が参加しましたが、皆真剣な表情で研修に参加していました。

これまで、今回のような周産期の緊急対応を学ぶ研修は、他国のドナーにより実施されたことはあったようですが、分娩時の緊急対応が中心であり、母体の救命が中心となった研修や、モンゴルの医師たちが主体となって研修を実施する機会は限られていたようです。参加者たちからは、診療の現場で役立つ、非常に有益な研修であったとの声が聞かれました。

今回の研修後に、ファシリテータたちが振り返りの場を設け、反省点がいくつか挙げられました。今後、研修内容に修正を加え、正式な継続研修として実施できるようにすることを考えています。また本来日本の研修で実施されていたように、医師だけでなく、看護師や助産師たちも参加できるようにすることも重要です。プロジェクトでは、続けて支援をしたいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

【画像】

ファシリテータである男性医師(!)が妊婦役をし、参加者が協力しあって急変時の対応を学んでいる様子