救急医療における超音波診療を学ぶ研修の開発を目的としたプロジェクトの実施者が訪問してくれました

2019年6月28日

モンゴルでは、近年非感染性疾患(心疾患や外傷)が急増しており、医療分野での大きな課題となっています。心疾患や脳卒中、また外傷の患者は、急性期に救急医療を必要としますが、モンゴルの救急医療分野は、まだ比較的歴史の浅い分野でもあり、その技術の向上は優先課題のひとつです。プロジェクトでも救急医療は重点科目と考え、これまで複数の研修パッケージの開発に取り組んできました。

6月24~28日、救急医療の現場で活用できる超音波診療について学ぶ研修の開発を通し、モンゴルの救急医療の質の向上と人材の育成を目的としたプロジェクトを実施するため、廣瀬医師(国立国際医療研究センター病院救命救急センター救急科)と竹井医師(都立小児総合医療センター救命救急科)の2名の救急医がモンゴルに来られました。このプロジェクトは、日本の厚生労働省の「医療技術等国際展開推進事業」として行われるもので、日本の医療技術などを移転することで、相手国の医療人材育成に貢献し、さらには医療水準の向上を目指すものです。

両医師は、滞在中モンゴル保健省を表敬訪問し、さらに複数の医療施設を視察しました。保健省では事業の概要を説明し、保健省の理解と協力を求めました(図1、2)。特に日本の厚労省とモンゴルの保健省では、人材育成などの領域で協力していく覚書を交わしていますが、今回のプロジェクトの内容は、その覚書の内容にも合致するものです。また訪問した医療施設では、救急医による超音波診療の現状を視察し、超音波研修のニーズが確実にあることを確認していました。

今後、研修パッケージの開発はモンゴルの救急医たちの協力のもと、今回モンゴルを訪問した両医師と日本の救急医たちが中心になって行います。私たちは研修の開発に実質的に関与するわけではありませんが、モンゴル国内でこれまで複数の研修パッケージの開発支援や管理に関わってきたことで得られた知見を共有し、より良い成果につながることができるよう支援したいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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図1. 保健省へ表敬訪問し、事業の概要を説明しました

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図2. 表敬訪問後、Tsogtobaatar局長(左から3人目)、廣瀬医師(右から3人目)、竹井医師(右から2人目)