モンゴルにおける蘇生教育について保健省で協議しました

2019年8月2日

7月31日、モンゴルにおける蘇生教育の現状、また今後の課題について、Byambadorj保健省事務次官や局長たちと協議しました。

プロジェクトでは、これまで全ての蘇生の基本となる一次救命処置(Basic Life Support:BLS)だけでなく、妊婦、新生児、また成人や小児を対象にした高度な手技を要する蘇生の研修パッケージ開発に取り組んできました。幸い、研修パッケージはいずれもほぼ完成しており、なかにはモンゴルの医師たちにより質の高い研修が提供できるようになっているものもあります。しかし、プロジェクトが終了した後も、モンゴルの方達によって継続して蘇生研修が提供できるようになるためには、多くある蘇生研修を一括管理し、インストラクターや資機材が適切に配置できるようにする必要があり、そのための組織が必要です。また蘇生行為の内容は、世界規模で5年おきに見直され、ガイドラインが改定されていますが、改定された内容をもとに、モンゴル国内における蘇生ガイドラインをアップデートする仕組みも必要です。

そこで保健省事務次官および局長たちに対し、モンゴル救急医学会を代表してアルタンスフ医師が現状と今後の課題、また課題を解決するための要望をプレゼンテーションしました(写真1)。プレゼンテーションの内容は、事前に救急医療の専門家である木村医師(国際医療研究センター)や藤田医師(旭川医科大学)とも協議し、アドバイスを受けました。また保健省での協議の際にも、両専門家から蘇生教育を国内に浸透させる意義、また保健省の支援の必要性などについて、コメントをいただきました(写真2)。

事務次官からは、モンゴル国内の医療の質の向上のために、特にBLSをはじめとする蘇生教育を広める重要性について理解をした旨コメントをいただきました。また国内全ての県にスキルラボ(蘇生研修を実施する場)を設置したので、今後幅広く指導者を育成していく必要性に言及され、保健省としても前向きに対応したいと返答がありました。

救急医療はモンゴルにおいて対応が必要な重点分野の一つです。プロジェクトでは、人材育成を通じてモンゴルの救急医療の発展に参与してきました。今後、モンゴルのリソースを用い、モンゴルの救急医療が継続して発展していくため、プロジェクトの活動期間を通じて技術的な支援を続けたいと考えています。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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写真1. 保健省にてプレゼンテーションするアルタンスフ医師

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写真2. 日本人専門家から貴重なアドバイスもいただきました