モンゴル卒後研修強化プロジェクトの4年間の活動が評価されました

2019年10月14日

10月8日から11日、JICA本部と専門家による運営指導調査団がモンゴルを訪問し、プロジェクトの過去4年間の活動を評価しました。

プロジェクトは、モンゴルの地域医療の質の向上を目指し、医療者の卒後研修制度を整備する活動を2015年5月から行っています。研修病院の指定基準や評価ツールの策定、国際標準の研修カリキュラムの開発、臨床研修指導医の育成、そしてモンゴル初の地域の病院における総合診療研修の実施などを支援してきました。また今年3月からは、看護師の育成を企図した活動も開始しました。その現状を評価し、2020年5月のプロジェクト終了までに取り組むべき活動を明確にすることが、今回の運営指導調査団の訪問目的です。

JICA本部のプロジェクト担当者や医療分野の人材育成の専門家からなる調査団のメンバーは、保健省・保健開発センター、チンギルテイ地区病院やオルホン県を訪問し、プロジェクトのカウンターパートとなる関係者からヒアリングを行い、プロジェクトの成果を確認しました。

調査の結果、モンゴルの関係者の尽力により、地域の病院で効果的な研修が実施されていることに対し、非常に高い評価を受けました。合わせてプロジェクト活動の成果をより高めるために、総合診療の全国展開に向けた実行力のある計画を立てること、研修の認知を高め、地域医療の質の向上に資する研修医のリクルートを行うこと、また接遇改善(倫理)や感染防御など医療の基礎を学ぶクレディット研修を必須化することなど、11の推奨事項が調査団の葦田竜也総括から、モンゴル政府の関係者に提示されました。

アジア・アフリカ地域で長年にわたり医療人材育成に取り組んでこられた藤田則子医師(国立国際医療研究センター)は、地域の医療に貢献する医療人材を地域で育成するというモンゴルの取り組みに対し、育成した医師たちを適切に地域に配置するためのシステムを構築することにより、モンゴルは諸国が解決できない地域医療の人材不足という課題を解決できる可能性を指摘されました。そして、「モンゴルは地域における医療人材育成において、世界をリードすることができる」と励ましの言葉をいただきました。

最後に、2020年12月までプロジェクトの活動期間が延長することも含め、推奨事項を中心に活動を続けることをモンゴル政府側と合意しました。プロジェクトでは、モンゴルの未来に貢献する医療者を育成するために、モンゴル保健省・保健開発センター、そして地域の病院の関係者たちと、さらに力を合わせて活動していきます。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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推奨事項に合意したことを議事録として残し、モンゴル政府及び調査団代表がサインをしました