2年目の総合診療研修が開始されました

2019年10月14日

研修医合計23名を受け入れ、オルホン県地域診断治療センター及びチンギルテイ地区病院にて10月7日より2年目の総合診療研修が開始されました。

プロジェクトでは、地域での医療人材育成を通じて地域での医療の質を改善することを目的として活動を続けています。その活動の集大成となるのが、2018年10月からオルホン県地域診断治療センター及びチンギルテイ地区病院をモデル施設として開始された総合診療研修です。総合診療研修は、1年間をかけて内科、小児科、産婦人科、救急科をローテーションし、一般的な医療の問題に対応できる医師を育成することを目指しています。プロジェクトでは、世界基準に則ったコンピテンシー基盤型カリキュラムや研修医評価方法の開発、指導医の育成や病院研修部の能力強化、研修マニュアルの作成など、様々なレベルで総合診療研修の実施を支援してきています。

昨年10月から研修を開始した19名の総合診療研修一期生たちには、標準化されたカリキュラムに基づいて研修が実施され、研修医たちはベッドサイドや外来で指導医から直接指導を受けるだけでなく、患者さんの診療方針などを相談するカンファレンスでも、指導を受けました。また各ローテーションでは、指導医や看護師からも評価を受け、それぞれ成長するためにフィードバックを受けました。そして研修の進捗状況は研修管理委員会で確認され、全員が適切に研修を受けることができるよう調整されました。このように、指導医たちや研修部の尽力があり、無事予定されていた研修を終えることができました。

プロジェクトから、新しく研修を開始する研修医全員に総合診療研修で使用する研修医手帳と研修マニュアルが提供されました。これらはモンゴルの保健省・保健開発センター、また地域の病院の医師たちが、地域で活躍できる医師の育成を目指し、プロジェクトと協働して作成してきたものであり、モンゴルの地域の医療の質の向上を願う皆さんの気持ちが詰まったプロダクトです。

二期生のなかには、一期生である先輩から総合診療研修の評判を聞いて研修を受けることを決めた方や、自分の出身地である地方の医療に貢献できる人材になることを目指して研修に参加した方もいました。みんなより良い医療が提供できる人材となることを目指しておられますので、その期待に応えることができるよう、指導医一同、そして研修部スタッフも、新たな気持ちで研修医の育成に真摯に対応していく必要があります。

先月の総合診療研修一期生の修了式では、効果的な研修が行われたことに対し高い評価をいただきました。ただ、指導医の継続した能力強化や研修環境の改善など、解決する必要のある課題も指摘されています。プロジェクトでは、この総合診療研修が改善され、さらに良い研修となり、本当に地域で必要とされる能力を持った医師を育成することができるように、支援を続けたいと思います。

モンゴル国一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明

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オルホン県地域診断治療センターの研修医たち一同と

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チンギルテイ地区病院で総合診療研修を開始した研修医たち