総合診療研修開始準備のためのオンライン研修を実施しました

2021年12月16日

モンゴルでは、本プロジェクトの先行フェーズにあたる、技術協力プロジェクト「一次及び二次レベル医療施設従事者のための卒後研修強化プロジェクト」(2015~2020年)の技術支援により、日本の医師臨床研修にあたる1年間の総合診療研修が開発され、2018年よりモデル地域にて開始し、その成果により現在は全国の5箇所の病院で導入され、本プロジェクトでは、その全国展開に取り組んでいます。

その取り組みの一環として、12月14~16日に日本の国立国際医療研究センターと共同で、総合診療研修の導入に関心のある病院および県保健局を対象に「総合診療研修開始準備のための研修」をオンラインで実施しました。研修には、地方の9県と首都から18名が参加しました。

日本の地方における医療人材育成の好事例の共有として、静岡県の公立森町病院院長の中村昌樹氏、静岡県の地域医療課の永井 しづか氏、浜松医科大学総合診療プログラム運営戦略アドバイザーの勝又 徹氏、浜松医科大学地域医療学講座の井上真智子教授を講師としてお迎えし、県や地域による医師の育成、医師確保・地域定着の取り組み、研修管理・運営などをご紹介いただきました。加えて、日本で研修病院の医学生向けのプロモーションに取り組まれている、メディカル・プリンシプル社の野村 聡氏を講師としてお迎えし、地域病院が取り組むことができる効果的な研修医のリクルート方法についても講義いただきました。

さらに、モンゴル国内で既にJICAの支援で総合診療研修を導入している病院からの学びの共有として、オルホンRDTC及びチンゲルティ病院から、研修の具体的な運営方法について、また保健開発センターからは研修開始申請の方法についてお話しいただきました。

最終日には、講義内容を踏まえた総合診療研修導入に向けた具体的な取り組みについて、参加者の各病院よりアクションプランを作成してもらい、指導医の養成や、病院幹部の理解促進、県の自治体・県保健局と連携した研修運営の実施等、すべての地域から研修導入までの具体的なステップを発表していただくことができました。

多くの参加者が、グループワークなどで、「特に地域全体で病院を支え、医師を定着させる取り組みについて強く印象づけられた」、「自分の病院でも総合診療研修を開始したいと思う」、「地域で働く総合診療医を育て、総合病院の外来の負担を減らしたい」などと話していました。また、3日間の研修をすべてオンラインで行うのはプロジェクトにとって初めての試みでしたが、概ね好評をいただき、「実際の研修と変わらない効果が得られた」「ウランバートルに出張せずに済んでとても助かった」などの声をいただくことができました。

プロジェクトでは今後も様々な方法で総合診療研修の普及支援を行っていきます。

チーフアドバイザー 馬場 俊明