モンゴル全国を代表する看護師たちを対象にJICA看護国別研修が開催されました

2022年2月9日

2022年2月7日~9日の3日間に渡り、日本の国立国際医療研究センター(NCGM)・日本看護協会とモンゴル保健省及び保健開発センターの協力のもと、JICA看護国別研修が実施されました。

今回の研修の目的は、日本の看護師の継続教育について理解を深めると共に、自分たちの強みを生かし、研修参加者がモンゴルの看護の看護実践能力の核(コンピテンシー)について考え、アクションプランを立案することでした。そして、今回の研修ではこの貴重な機会をモンゴル国内の多くの看護職に共有できるよう、会場には保健省や保健開発センター、ウランバートル市保健局、国立医科大学、モンゴル看護協会、保健省管轄の国立病院や産科病院の看護部長ら合わせて39名が集った他、オンラインでは全21県の保健局の看護サービス担当の専門官、県総合病院や県RTDCの看護部長らが参加し、総勢90人もの看護師たちが参加する研修会となりました。

開会式にはモンゴル保健開発センター長のナラントゥーヤ氏と国立国際医療研究センター国際医療協力局の池田千恵子局長からご挨拶を頂き、近年の看護職を取り巻く状況と共に、これからの看護職への大きな期待について語られ、参加者の士気が高まりました。

研修の内容としては、研修1日目に日本看護協会の太田氏と小澤氏より日本で活用されているクリニカルラダーとは何か、その開発に至った背景、目的、活用方法等について講義して頂きました。また2日目には、看護実践能力の核に基づいたクリニカルラダーが実際にどのように活用されているかといった実践について、国立国際医療研究センター病院教育担当看護師長の服部氏よりご紹介頂きました。続いて、先行フェーズである「一次及び二次レベル医療従事者のための卒後研修強化プロジェクト」のチーフアドバイザーであった井上医師からモンゴルでの医師のコンピテンシーを抽出する際にどのような活動を行ったかについて、ご教授頂きました。そして研修最終日となった3日目には会場に集まった研修員たちが各々の特性を生かしたグループに分かれ、モンゴルの看護師たちのコンピテンシーと何かについて考えると共に、それらを確固たるものにする為の方略としてアクションプランを立案し、発表を行いました。

同時に、21県からのオンライン参加者達が3日間しっかりと聴講している様子が会場にも伝わっており、皆さんを会場にお招きできなかった一方、地方の看護職の熱心さを痛感し、企画にあたったメンバー皆とても感動しておりました。

また新型コロナウイルス感染拡大によって世界中で様々な活動が滞っている中、医療現場で大切な役割を果たしている看護師たちがWHOの規定する感染防御対策やモンゴル政府が規定する基準を順守することで周囲も自分も守りながら研修に取り組むことができることを示す貴重な機会にもなりました。

研修の最後には、モンゴル側から保健省専門分野委員会会長であるホラン氏より研修の実施に対する感謝が述べられた他、JICA本部人間開発部葦田竜也氏からは、JICAは世界各地で看護師人材育成の支援を行っており、現在行われているこのプロジェクトの活動はJICAにとっても非常に意義のあるプロジェクトである点、また、ユニバーサルヘルスカバレッジの達成における看護人材の重要性を示す活動であることが伝えられました。

コンピテンシーを基盤とした教育が盛んに語られるようになった今、これからのモンゴルの看護分野を発展させるためにはモンゴルの看護師たちが自らコンピテンシーを考え概念化していくことが不可欠であり、今回の研修はその初めの一歩となったことを確信しています。3か月後には各グループのアクションプランの結果発表会が催されますが、プロジェクトではその進捗を支援すると共に、モンゴルの卒後看護師教育の質の向上に向け、引き続き取り組んで行きたいと思います。

医師及び看護師の卒後研修強化プロジェクト プロジェクトアシスタント ビンデリヤ

【画像】講義を熱心に聞く研修生たち

【画像】

テーブル記されたボーダーラインを守りながらグループワークをする研修生の様子

【画像】オンライン聴講生から見たグループディスカッション発表の様子

【画像】会場に集まった研修参加者と共に