卒後研修プログラムの評価を視察しました

2023年6月8日

2023年5月8日、保健開発センターは卒後研修プログラム評価者育成研修を実施しました。
https://www.jica.go.jp/project/mongolia/025/news/20230508.html

それ以降、卒後研修プログラムの評価が積極的に行われています。この度、6月8日に国立第二病院で実施された神経内科専門研修プログラムと看護師の専門研修プログラムの評価に、プロジェクト関係者が同行する機会をいただきました。プロジェクトの成果を確認することができた、非常に実りある視察となりましたので、ご報告いたします。

卒後研修プログラムの評価基準は、元々は総合診療研修を評価することを企図し、前フェーズにて開発されたものです。ただしその内容は、研修プログラムが理想のプログラムに近づくことができるように支援することを意識していますので、その他の卒後研修プログラムに適用することが可能です。実際に評価を行う際には、卒後研修の管理体制や研修環境など、6つのカテゴリーに分類された64の評価項目を丁寧に確認していきます。そのために、書類審査だけでなく、病院の管理職や研修プログラム責任者、また指導医や研修医にもヒアリングを行っています。以前は評価者の主観だけで行われていた卒後研修プログラムの評価ですが、基準が定められたことで、客観的に、また誰にでもわかる形で評価できるようになっています。

今回の評価でも、定められた手順に従い、保健開発センターの担当官が神経内科専門研修プログラムと看護師の専門研修プログラムの評価を進めていました。その結果、研修ローテーションやカリキュラムがしっかりと定められており、指導医と研修医のスケジュールが明確になっていること、またカンファレンスや論文を勉強する機会も確保されていること、またポートフォリオと呼ばれる研修医の研修記録も作成されていることなどが確認できました。他方、研修医の評価がカリキュラムに定められた通り実施されていなかったことも明らかになりました。

看護師の専門研修プログラムの評価は、プロジェクトではこれまで十分に関与していませんでしたが、医師向けの評価項目を修正して活用していることが確認できました。医師の研修プログラムの評価と同様、指導者や研修を受けている看護師たちから丁寧にヒアリングを行い、必要な改善に向けた提案がなされていました。しかし、評価基準は看護師用にさらにブラッシュアップする必要があることもわかりました。

プロジェクトでは、モンゴルの方々が自分たちで卒後研修プログラムの質を評価し、その評価に基づいて自律的に改善していくことを目指し、支援を続けています。今回の視察で、研修プログラムの評価が確実に行われていることが確認できました。評価が確実に行われているということは、研修プログラムの質の向上を積極的に進めていく地盤が固められていることを意味します。神経内科の研修医は、「とても良い環境で研修ができており、指導医から多くのことを学ぶことができている」とコメントしていました。プロジェクトでは、良い医師の育成につながる良い研修環境が実現できるように、これからも支援を続けたいと考えています。

モンゴル国 医師及び看護師の卒後研修強化プロジェクト
Bayarmagnai Binderiya, Lkhagva Azzaya, 井上信明

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写真1. 院長先生に評価の目的について説明をする担当官

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写真2. 研修プログラム評価基準に沿って、評価を進めている様子