第1回プロジェクト合同委員会を開催しました。

2015年7月9日

7月9日、プロジェクトの基本的な方向性を日本・ミャンマー側で協議するプロジェクト合同委員会を保健省公衆衛生局長が議長となって開催しました。今回は、昨年11月にプロジェクトが開始されて初めての合同委員会で、プロジェクト開始後半年の活動の進捗と成果を確認することと、今後のプロジェクトの活動の方向性と実施体制を協議することを目的として開催しました。

今回の合同委員会では、プロジェクト開始早々ですが、プロジェクトの基本的な枠組みであるProject Design Matrix (PDM)自体を見直すことを主要な議題としました。その背景には、今年4月に保健省の機構改革がありプロジェクトのミャンマー側実施部署であった保健局(DOH)が改廃され、保健局の機能を2分割した公衆衛生局(DPH)と医療サービス局(DMS)が新設され、保健省側のプロジェクト・カウンターパートを再確認する必要が生じたことにあります。

また、半年間のプロジェクト活動の実施を通じて、JICA専門家チームと保健省ならびにカヤー州関係者との間で、プロジェクト開始前に策定したPDMでは十分に表現しきれていなかった、国、州での「保健計画」のマネジメント能力の強化が、2030年までにユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成しようとする当国の保健政策を実現する上でプロジェクトが貢献できる大きな要素となるとの認識を共有できたことも、今回のPDM改定協議のきっかけとなりました。

さて、実際の委員会はどうだったかというと、保健省全体が機構改編の混乱の余波と急遽同月末に開催の決まったミャンマー保健フォーラム国際会合の準備という騒然とした中、開催の最終決定が会合前日の夕刻、報告内容の確定が当日までかかるなどのドタバタの中での開催となりました。しかし、ふたを開けてみると、新カウンターパートとして期待される、公衆衛生局、保健サービス局、さらに新設の次官室からも幹部職員が出席、特に従来は個別保健プログラムの担当幹部がドナー会合の前面に出る中で、日頃あまりこうした協議に参画しない総務、経理、調達等のアドミ関連の幹部が多く出席、積極的に発言をしてくれたのが大変印象的で、保健省の横断的機能の強化を目指すプロジェクトとしては理想的な協議の場となりました。

当日の協議では、いわゆるvertical programsと呼ばれる個別課題事業の進展が評価される中でこれらの事業を横断的に調整し、国、州、タウンシップ各レベルでバランスのとれた「保健計画」を策定し実行していくためのマネジメント強化の重要性が改めて確認され、プロジェクトの活動もそれに即した内容とすることが確認されました。さらに、実施体制についても公衆衛生局、保健サービス局そして次官室がカウンターパート部署となることが適切との結論に至りました。

こうして、当初期待したスピードには程遠いものの、プロジェクトの足場が一歩ずつ固まりつつあります。委員会の協議議事録は現在、保健省内での確認手続きが進められています。当地の状況は7月8月の大雨による水害被害の拡大、11月上旬に予定されている総選挙とそれに向けた政治的な活動の活発化がプロジェクトの進展にとって大きな不安材料になっており、気が抜けない日々が続いています。しかし、2011年の民主化以降の改革の動きを見れば、ミャンマーは確実に前に向かって進んでおり、私たちもプロジェクト活動を通じて、こうした改革の一助になれればと思います。

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JICAミャンマー事務所稲田次長(左)とプロジェクトディレクターである保健省公衆衛生局長Dr. Soe Lwin Nyein(右)

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第一回合同調整委員会の様子