保健省内で定期的にショートセミナーを実施しています。

2016年3月17日

首都ネピドーで、保健省と活動を進めているネピドーチームは、「保健システム強化」に関する当国内外の情報の共有を図る活動の一つとして、現在までに3回のショートセミナーを実施してきました。こうしたショートセミナーを通して、保健省職員が各種会議、セミナー、ワークショップに出席して得た情報、知見等を、保健省内の他の職員、特に若手職員に積極的に共有していくことを目指しています。また、保健省のニーズに応じて、日本や他国の知識、経験を紹介する場としてもショートセミナーを活用しています。

第1回ショートセミナー「2015年度国別研修での学び」

2015年12月下旬に第1回のショートセミナーを実施しました。2015年9月に2週間の国別研修(注1)に参加した保健省職員をプレゼンターに迎え、保健計画や地域ニーズに合った保健医療サービス提供の実際等、国別研修での経験、学びを、保健省の若手職員に向けて発表しました。ミャンマーとは多くの点で異なる日本の保健システムについて、「国民健康保険制度で、国民はどの程度医療費を負担しているのか。」「自殺者数減少に向け、精神保健の分野でどのような取り組みを実施しているのか。」といった質問が出る一方で、「ミャンマーでは、医療の質の確保のために、医療サービスの標準化が必要。」「ミャンマーの農村部での医療者定着に向けた対策が必要。」等、多岐にわたる意見も飛び交い、日本の経験をどのようにミャンマー保健システムの強化に活かしていくか活発に議論されました。
(注1)2015年度国別研修の内容については、プロジェクトニュース「第2回国別研修を実施しました。」をご覧ください。

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第1回ショートセミナーの様子

第2回ショートセミナー「国家保健計画策定の進捗」

2回目のショートセミナーは、「国家保健計画策定の進捗」をテーマに2016年2月中旬に開催しました。現在、ミャンマー保健省は、2016〜2021年の5か年国家保健計画の策定作業を行っています。次官室や各局局長を始めとした幹部を中心に話し合いが進んでいますが、その取り纏め担当者の一人に、進捗状況と各課に求められる視点を話してもらいました。セミナーは公衆衛生局と医療サービス局で別々に開催しましたが、それぞれ30名弱の職員が集まりました。参加者それぞれの業務に直接関わる内容であり、どの参加者も熱心にプレゼンテーションを聞いていました。

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第2回ショートセミナーの様子

第3回ショートセミナー「行政におけるモニタリング評価」

JICA本部の中村国際協力専門員を講師に迎え、2016年2月末に第3回ショートセミナーを開催しました。今回は前半に、中村専門員に「公衆衛生事業におけるモニタリング評価:日本の経験」をテーマに、保健問題解決に向けたロジックモデル(注2)、目標・指標設定、評価方法について日本の例を説明して頂きました。その内容を踏まえ、後半は、ミャンマーの保健問題をロジックモデルを使って考えるグループワークを行いました。限られた時間でのグループワークとなりましたが、参加者は積極的に意見を交換し、それぞれの取り上げた保健問題のロジックモデルを組み立てていました。

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第3回ショートセミナー
グループワークの様子

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第3回ショートセミナー
グループ発表の様子

これから

各回のセミナーの後に取ったアンケートの結果を見ると、「大変役に立った。」「期待以上のセミナーだった。」との返答が大半を占め、これまでの3回のショートセミナーが、いずれも好評であったことが分かります。「同様のセミナーをもっと頻回に開催して欲しい。」といった意見も挙げられています。ショートセミナーを通して、保健省内の情報共有が進めば、物事をチームで考えるような職場環境が作られて、業務上の様々なアイディアが、実現しやすくなるものと思います。こうしたショートセミナーが、新しいアイディアを具現化させる豆まきの場となることを期待して、ネピドーチームは、保健省と共に、これからもショートセミナーの開催を続けていきます。

(注2)ロジックモデルとは、ある施策がその目的を達成するまでの、論理的な因果関係を書き出したものです。