カヤー州での研修活動の展開を支援しました。

2016年5月19日

プロジェクトでは事業成果の一つとして、カヤー州の保健医療サービスの向上を目指しています。今回、その一環として、ミャンマー保健省が全国一斉に実施している「基礎的緊急産科/新生児ケア研修」の州内での確実かつ効果的な実施を支援しました。

「基礎的緊急産科/新生児ケア研修」は、地方の末端の医療施設でも出産や新生児のケアを的確に行えるように、全国の助産師により実践的な指導をするものです。指導内容やカリキュラムは、欧米の大学や国際NGOの支援を受けて、ミャンマー保健省が作成しました。研修プログラムの実施は、地方選出の指導者が中央での指導者研修を受けた後、地方ごとに研修講師を育成し、その講師が各地の助産師に指導するという順番ですすめられます。

州の規模が小さく人材も足りていないカヤー州では、このような活動の実施も容易ではありません。講師を務めることのできる産科医や熟練の助産師の人数は限られています。州内で移動するにも交通の便が悪く、研修を受けに行くスタッフは大変です。さらに、人数が足りていない末端の施設ではスタッフの誰かが研修を受けに行けば、その間、他のスタッフの負担が大きくなります。それでも、こうした活動を確実な成果につながるためには、研修プログラムがスムーズに実施され、ひとつひとつの研修の質が維持されるように、州の保健行政が主体的に研修活動を運営しなければなりません。そのような運営能力の向上があってこそ、保健医療サービスの質の向上に取り組むことが可能となります。そこで、プロジェクトでは、プログラムがより良く展開できるように、カウンターパートである州医療サービス局と州公衆衛生局と一緒になって研修に取り組みました。

研修プログラムでは、まず、2015年11月に州内のロイコー総合病院の産科専門医を中心とする指導者チームが中央での指導者研修を受けるために派遣されました。プロジェクトからも現地スタッフがオブザーバーとして参加しました。研修を受けた指導者チームがカヤー州へ戻った後、2016年1月25日から2月1日の8日間にわたり、ロイコー総合病院で州内の医師、看護師、助産師18名を対象に講師研修が実施されました。プロジェクトの現地スタッフもファシリテータとして講師研修に参画しました。講師研修をうけた18名はそれぞれのタウンシップに戻り、今度は自分が講師となって地元の助産師に対する研修・指導を行っています。特に人手の足りないタウンシップでの研修・指導へはプロジェクトの現地スタッフを送り込むなどの支援も行っています。一連の活動を通じ、カヤー州内では約270名の保健スタッフが研修に参加することになります。プロジェクトでは、州内各地の研修記録のとりまとめと実施状況のモニタリングも継続して支援しています。

講師研修の舞台となったロイコー総合病院は州唯一の総合病院で、同病院で働く専門医は病院内のスタッフだけでなく、州内に展開する医療従事者に対して適切な技術指導を行うことも求められます。今回の研修プログラムは、ロイコー総合病院の医師が州内の遠隔地の医療に目を向けたり、同病院と州内各地の医療従事者が連携を強めたりするための良いきっかけにもなりました。

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ロイコー総合病院の講師研修の様子:受講生を指導する同病院の産科専門医(写真左から4人目)。妊婦さんにもご協力いただきました。受講生は、タウンシップの医師等男性も多く含まれます。

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出産介助の実技演習をする受講生

【画像】研修終了後、修了証書を受け取り、集合写真