カヤー州の経験をラカイン州へ。視察団が来訪。

2017年8月10日

2017年8月9日、10日

プロジェクトでは、カヤー州を実施サイトとして保健医療サービスを計画的に改善していくための活動を展開してきました。これまでに、州の行政機関としての役割と目的、取り組むべき事項を明確にして半年間の実施計画をたて、計画進捗をモニタリングするためのツールも作成しました。実施計画には、新政権が提唱する患者中心のケアや医療機関での感染防止の実践、僻地勤務職員の動機付けなどの活動も含まれています。

カヤー州はミャンマーの東の端の一番小さな州で人員も施設も不足しがちですが、プロジェクトの主役である州の行政局や医療機関の人たちは、皆とても熱心に活動に取り組んでいます。活動の成果は首都ネピドーの保健スポーツ省の会議でも報告しますが、現場での彼らの意気込みと活動の実際は他の州の保健医療関係者に直接見てもらいたいと考えてきました。プロジェクトが3年目に入った2017年8月、これが実現しました。

JICAミャンマー事務所が中央の保健スポーツ省に話をもちかけ、カヤー州とは反対の西側の国境地帯にあるラカイン州から行政官、病院長、看護部長等の9人の関係者がカヤー州の活動を視察することになりました。どちらの州も決して交通の便は良くないので、ラカインからカヤーへ来るにはヤンゴンで1泊して飛行機を乗り継がねばなりません。それでも、ラカインからの一行は8月9日の朝カヤー州に着いた直後から精力的に行動を開始し、充実した2日間を過ごしました。

病院の総合受付や病棟での患者さんへの対応などミャンマーの公立医療機関ではまだなじみの薄い「患者中心のケア」をロイコー総合病院が実践しつつあることや、カヤー州の行政側が患者だけでなく職員にとっても満足に思える病院を実現しようとしていることなどに、ラカインの関係者は敏感に反応し、高く評価してくれました。このことはカヤーの関係者にとっても良い刺激となりました。また、プロジェクトで導入した業務環境改善のための5S手法やエンターテインメントの形式をとった保健教育(Enter-Education)にもラカインのメンバーは多大な関心を示し、自分たちの勤務先でもぜひ取り入れたいと熱く語っていました。

プロジェクトでは、今後も同様の機会を設け、ミャンマーの地方農村部の行政官や病院関係者がカヤーを訪れて活動の実際に触れ、地域におけるより良い保健医療サービスの提供を考えるきっかけを作っていきたいと考えています。

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小児科主任医師(左)からEnter-Education実践の苦労話を聞く

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真剣に話し込むロイコー総合病院看護部長(左)とラカイン州シットウェ総合病院看護部長(右)

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薬品庫で5S活動について熱心に質問するラカイン州サンドウェ郡病院副院長(左)

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小児病棟の掲示について質問するシットウェ総合病院副院長(中央)、熱心に説明するロイコー総合病院院長(右)と副院長(左)