MRT研修講師向け振り返りセミナーとアドボカシー会議の開催

2017年12月20日

2017年9月3日~6日の日程で、南シャン州の州都タウンジーにおいて、Medical Records Technician(MRT)研修講師向け振り返りセミナーとアドボカシー会議を開催しました。

9月4日、5日に開催したMRT研修振り返りセミナーは、16名のMRT研修講師を対象に、1)講師のプレゼンテーション能力強化に向けた半日の講義、2)これまで4回実施したMRT再教育研修を振り返り、今後どのように研修を実施していくかを話し合う会議、および3)病院情報部門機能評価のための病院訪問、の3つのプログラムから構成されました。

セミナー初日の講義では、ミャンマー日本人材開発センター(注)の講師が、プレゼンテーションとファシリテーション手法に関する講義を行いました。講義は限られた時間の中ではありましたが、複数のグループワークやプレゼンテーションも含めた参加型ワークショップ形式で行われ、参加したMRT研修講師からは「初めてこのような講義を受けました。これからMRT研修を続けていくのに、とても役に立ちます。」とうれしいコメントをいただきました。

今後の研修を検討する会議では、3名の講師代表が、これまでのMRT研修の実施状況、教訓、課題について発表し、その上で講師全員で、どのように今後の研修を良くしていくかを話し合いました。研修参加者の集中力を保つためのカリキュラム改善案や、研修後の参加者フォローアップ方法等について活発な議論が行われ、早速次の研修に生かしていくこととしました。

セミナー2日目には、研修講師らがタウンジー市内の2つの病院を訪問し、試験的に作成したチェックリストを用いて、両病院の病院情報部門の機能を評価しました。チェックリストは、MRTの人員配置、カルテ庫等の設備、患者登録システム、ナンバリングシステム、書類保管システム、報告システム、情報活用状況、情報安全管理状況等を確認するもので、外来や各病棟を訪問し、MRTだけでなく、看護師等にも聞き取りを行う、体系的で包括的な評価内容になっています。今回のMRT講師による評価作業、今後の改善点について病院側へ助言を残すともに、医師、看護師等の医療職にMRTの役割を理解してもらう良い機会にもなりました。

【画像】

ワークショップにおけるグループワーク

【画像】

振り返りセミナーでの発表

【画像】

病院情報部門の機能評価のための病院訪問

9月6日に開催したアドボカシー会議には、シャン州社会大臣、保健スポーツ省副局長、同州の病院の幹部やMRT等のスタッフを含め総勢86名が参加しました。社会大臣、保健スポーツ省幹部による、病院情報の重要性と今後の課題についてのスピーチののち、MRT講師の代表が、前日の病院訪問で行った病院情報部門機能評価作業の結果を発表し、MRTを取り巻く現状や課題、そして改善策についての意見交換が行われました。機能評価の結果からは、病院データ管理に対する病院スタッフの意識の違いによって、カルテの保存状態やICD10コーディングの質に大きな違いが生じることがわかりました。そして、会議に参加したタウンシップ病院長からは、「これまでMRTの役割を十分に理解していなかったが、今回の会議のおかげでその重要性を理解することができた。」といった感想が聞かれました。

今回のような、振り返りセミナーやアドボカシー会議は、研修講師の能力向上、モチベーション維持だけでなく、病院関係者の病院で生まれる多くのデータや情報管理のシステムに関する意識を高め、研修受講後のMRTが、配属先の病院でその能力を十分に発揮できる環境を整えることに繋がります。プロジェクトではMRT研修の効果発現に向けて、このような活動も続けていきます。

【画像】

アドボカシー会議

【画像】

アドボカシー会議での病院情報部門機能評価結果説明