地震観測網の技術トレーニングと保守作業トレーニングを実施しました

2019年6月20日

ネパールのカトマンズでは、朝夕に雨が降り、雨季の足音が感じられる季節になりました。
今回、日本から「地震観測システム」グループ(グループ4)の専門家がカトマンズを訪問し、地震観測網の運用に関する技術トレーニングと保守作業トレーニングを行いました。このグループは、ネパール中部に8点からなる地震観測網(図1)を2018年10月に完成させ、地震空白域を見据えたヒマラヤ沿いの地震活動のモニタリングを開始しています。

8ヶ所の地震観測点は、ネパール中部に約70km間隔で面的に設置されており、東西約300km、南北約120kmの広がりがあります。観測点はソーラーパネルで電力供給され、携帯電話網を用いて地震データを首都カトマンズに設置されたデータ受信サーバーに送信しています。

技術トレーニングではまず、カトマンズにあるデータ受信サーバー室にて、日本側専門家からネパール側カウンターパートにデータ受信サーバーの説明が行われました。(写真1)このサーバーでは、地震観測点から毎分送られて来る地震データを収録し、同時に自動震源決定を行って地震活動のモニタリングが行われています。そのデータの流れや処理の仕組み、及び機器トラブル時の対処方法について説明すると共に、実際に普段チェックすべき点について一緒に確認する作業を行いました。
次に、1泊2日で、プタリバザール(PUTL)観測点をネパール側カウンターパートと一緒に訪問しました。プタリバザールは、ネパールでカトマンズに次ぐ人口を有し、湖があることで有名なポカラから1時間半ほど車で移動したところにある町です。観測点では、実際に設置されている機器の説明を1つ1つ行い、またトラブル発生時の対処方法などを説明しました。(写真2)またこの観測点では、正しい時刻を得るために使用しているGPSアンテナが2018年7月に故障し、小型GPSアンテナで代替して運用していたので、今回保守作業の一環として、一緒にGPSアンテナの交換・復旧作業を行いました。

地震活動のモニタリングを継続して行うには、地震観測網が安定して運用されることが重要です。今回の技術トレーニングにより、障害発生時にもネパール側カウンターパートが迅速に対処・復旧することを期待しています。また今後は、2年後のプロジェクト終了に向けて、機器の維持管理について、プロジェクト内で現実的な方策を検討していくことが重要な事項となっています。

【画像】図1.プロジェクトで設置した観測点8ヶ所の位置

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写真1.カトマンズのデータ受信サーバー室で、技術トレーニングを実施中の日本側専門家とネパール側カウンターパート

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写真2.観測点にて日本側専門家の説明の下、機器の保守点検作業を実践するネパール側カウンターパート