コミュニティ人材の活用

2015年8月17日

ナイジェリアにはワード保健委員会(WHC)という制度があります。ワードはナイジェリアの最小行政単位(注1)で、プロジェクト対象地域であるエティ・オサ行政区には5つのワードがあります。各ワードの人口規模は16,000〜48,000です。ナイジェリアの保健セクターではこのワード・システムを使った保健体制の立て直しを行っており、プロジェクトではWHCの能力強化を支援しています(「プロジェクト活動本格始動(2015年7月15日)」参照)。
プロジェクト対象地域でも、各ワードにWHCが設立されました。WHCの主な役割は住民の一番身近な保健医療施設であるプライマリ・ヘルス・センター(PHC)を支援し、住民のPHC利用を促進することです。WHCのメンバー数は各ワードで5名です。地方行政区のトップが住民の中から選びます。しかし、5名のメンバーだけでは、活動にも限界があります。そこで、ボランティアとしてWHCメンバーを手助けする、サポート・メンバー(SM)をコミュニティ内のグループ(注2)から募ることになり、各ワードで10名のSMが選出されました。
7月下旬から8月中旬、4つのワードのWHCメンバーとそのSMを対象に研修を実施しました。研修では、WHCの役割、業務の内容、住民を取り巻く保健課題などの講義のほかに、各ワードでの健康に関わる問題が活発に話し合われました。参加者からは、いままでは出身地や言葉が違うため、情報の伝達がうまくいっていなかったが、今回はコミュニティ内の各グループからSMが選ばれたことでコミュニケーションがスムーズになる、との心強い意見も聞かれました。
今後は、地域の保健の伝道師としての活躍を期待しています。

(注1)ナイジェリアの地方行政区画は、州→地方行政区→ワードとなっています。
(注2)青年部、婦人部、言語の違うグループ。プロジェクト対象地域では、他国・州から移住した住民もおり、言葉の壁も健康促進の障壁となっていることから、この点に配慮し募集した。

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討議内容を発表する参加者

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コミュニティの保健課題に関する話合い