パラグアイにおいて初となる作物残留試験開始

2018年11月22日

新たな市場の開拓や国際流通の多様化により、国家・経済圏同士での生鮮・加工食糧の取引が加速しています。また、中長期的に見た場合、関税やその他の経済的ハードルが減少する一方、食糧の検疫衛生要件や食品安全要件が重要視されていくと予想されます。このような状況において、各国が自らの国民の健康を保護するために設定する食品安全要件が、国際取引の重要条件ともなることから、各国は、食品安全を確保しつつ、農作物中の残留農薬基準(MRL)の設定を進めています。

また、パラグアイにおいては、近年、輸出農作物中の残留農薬による国際貿易上の問題が生じています(対日輸出ゴマのカルバリル問題など)。現在、パラグアイにおいては、ゴマなどのマイナー作物に対する農薬の使用基準や作物中の残留基準が存在しません。輸出農作物は、輸出相手国の残留基準を満たさなければ、シップバックされることがあるため、その基準を満たす必要があります。しかしながら、農薬をどのように(時期・量)使用すれば、残留基準が満たされるかというデータがありません。

本年10月、プロジェクト活動の一環として、国立植物・種子品質・検疫機構(SENAVE)及びパラグアイ農業技術院(IPTA)がパラグアイ初となる作物残留試験を開始しました。実際に農作物に農薬を使用して、その結果、作物中にどの程度残留するかという試験を行い、農薬の使用方法を明確にすることが目的です。将来的には、これらのデータを基にパラグアイにおける農薬の使用基準や農作物中の残留基準値を設定することになります。初年度のデータがでるのは2019年3月頃を想定しています。

【試験の概要】
対象作物:ゴマ(IPTA KO7種)
対象農薬:除草剤2種(ハロキシホップメチル、クレトジム)、殺虫剤5種(カルバリル、イミダクロプリド、エマメクチン安息香酸、ノバルロン、フィプロニル)、殺菌剤1種(テブコナゾール)
試験圃場:IPTAの3圃場(サンペドロ県チョレ市、コルディジェラ県カアクペ市、ミシオネス県サン・ファン・バウティスタ市)

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白ゴマの播種を行うカウンターパート。

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発芽したゴマ。

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試験圃場(IPTAサン・ファン・バウティスタ)での関係者グループ写真。