第2回オンライン研修開催

2021年8月26日

2021年8月24日から8月26日まで、高齢者への在宅ケアと生活支援政策のオンライン研修を実施しました。保健省、社会開発人間安全保障省、国民医療保障事務局、JICAタイ事務所、S-TOPプロジェクトの代表者らにより開会の辞が述べられました。S-TOPの実施機関から24人の参加者と40人以上のオブザーバーが3日間の研修に参加しました。

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第1日目(2021年8月24日)

午前の部では、JICA本部の中村専門員が、日本における、高齢者への在宅ケアと生活支援政策について講義をし、地域包括ケアの好事例として、駒ヶ根市と東近江医療圏における取り組みを紹介しました。駒ヶ根市では、市と病院が協力して脳卒中患者のセルフケアを推進しました。東近江医療圏の事例では、地域の医療従事者らによる勉強会や、脳卒中患者のクリティカルパスを示した手帳導入の取り組みを紹介しました。参加者からは「駒ヶ根市が支援する(退院者が自宅で生活できるような)セルフマネジメントプランを踏まえどのように脳卒中患者をフォローするのか」「充分な高齢者ケアサービスを共有するために日本ではどのように官民で協働しているのか」などの質問が出ました。午後の部では、保健省第4区州事務所のプラシッチャイ所長が、サラブリ県における高齢者のための地域包括ケアの取り組みについて講義しました。参加者からは、中間ケアから在宅ケアへの円滑な移行や、各県のコミュニティの支援を得ながらいかに持続的な在宅ケアを提供できるかについて意見がありました。

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第2日目(2021年8月25日)

午前の部では、国立感染症研究所の黒須研究員が、日本の高齢者ケア施設におけるコロナ対策について最新の取り組みを紹介しました。質疑応答では、タイのコミュニティにおけるコロナ対策の取り組みについて意見交換がありました。午後の部では、佐久大学の束田客員教授がチョンブリ県サンスク町におけるJICA草の根技術協力事業により実施する高齢者プロジェクトの事例発表を行いました。講義の中では、チョンブリにおける高齢者のための保健ボランティアの役割についての調査結果も報告されました。質疑応答では、チョンブリ県での取り組みを、自分の県でどのように活かすことができるか、特に保健ボランティアの能力や意欲をいかに維持発展させていくかについて、参加者間での議論が行われました。

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第3日目(2021年8月26日)

午前の部では、日本とタイのデイケアセンターの運営について講義と質疑応答が行われました。日本のデイケアセンターの運営について、S-TOPのメラ専門家が、静岡県富士市のデイケアセンターの一日を紹介するビデオとともに説明しました。タイからは、ノンタブリ市デイケアセンターのパチャラポン看護師から、デイケアセンターを維持するために欠かせない人員と財政管理を中心にその運営について、紹介がありました。質疑応答では、保健省保健局(Department of Health)と社会開発人間安全保障省の参加者らが、健康長寿のための政府予算、高齢者のためのボランティア研修カリキュラムなどを紹介しました。

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午後の部では、慶應義塾大学の春田准教授が、高齢者ケアにおける多職種連携が必要とされる背景、効果的な多職種連携を実施するための取り組みについて講義をしました。質疑応答では、タイでの多職種連携の成功の鍵や課題について意見交換がありました。具体的な意見として、バンコクの急性期病院の看護師からは、正しいゴール設定と、異なる医療専門職間の平等性が成功の鍵であること、チョンブリ県の理学療法士からは、多職種チームによる高齢者の家庭診療では、異なる職種間での時間管理、コミュニケーション、柔軟性が必要であること、などの発言がありました。


第2回オンライン研修は、保健省保健行政部(Health Administration Division)のコーンクリット課長の閉会の辞により終了しました。

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