ベトナム社会主義共和国(以下「ベトナム国」と記す)では、1986年から始まったドイモイ政策で市場経済が導入され、海外直接投資の増加を梃子に順調な経済成長を実現している。これと同時に、多数の大規模インフラ整備事業が実施されているが、大規模インフラ建設の実施経験が不足し、また建設事業一般において品質管理・安全管理への配慮が十分ではないため、建設現場での事故が頻繁に発生している。さらに建設事業の契約管理では、片務性が強く、国際慣行と整合しない運用がなされ、契約履行時に紛争がしばしば発生し、円滑な事業実施の障害となっている。
ベトナム国政府は、過去10年余に亘り、建設工事に関する制度作りに取り…