AIS職員が課題別研修「ASEAN地域向けサイバーセキュリティ対策強化のための政策能力向上」に参加し、結果を帰国後に報告

2020年2月6日

2020年1月~2月にかけて実施された課題別研修「ASEAN地域向けサイバーセキュリティ対策強化のための政策能力向上」に、ベトナムからAIS職員2名と外務省職員1名が参加しました。今回は、2019年5月に締結された日ASEAN技術協力協定に基づき、ODAを卒業しているシンガポール、マレーシアや、ASEAN事務局、タイにある日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC:ASEAN-Japan Cybersecurity Capacity Building Centre)からも参加があり、総勢17名もの大人数となりました。

研修では、日本の政策(内閣サイバーセキュリティセンター、総務省、経済産業省)についての歴史や最新情報を学びました。また、日本のセキュリティ関連の業務を行っているJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC:Japan Computer Emergency Response Team Coordination Center)、情報処理推進機構(IPA:Information-technology Promotion Agency)、日本情報経済社会推進協会(JIPDEC:Japan Institute for Promotion of Digital Economy and Community)からCERT(Community Emergency Response Team)、標準化の課題等について幅広く日本の知見を学習することができました。日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA:Japan Network Security Association)は、人材育成の取り組みの1つであるSecBoK(Security Body of Knowledge)について詳しい説明を行い、その重要性を強調しました。国際法のコマでは、インターネットガバナンス、国連の政府専門家会合など、サイバー空間の主権に関わる深い議論もできました。また座学のみではなく、日本の企業を守るセキュリティ監視・運用センターJSOC(Japan Security Operation Center)の視察も行い、具体的な取り組みについても触れることができました。

最終日にはそれまでの講義や視察を踏まえて、自国に戻ってからどのように生かすかというアクションプランを発表し、活発な議論を行いました。主な議論は以下の通りです。
・予算の制約がある中で活動を広げるのは難しい
・日本のサイバーセキュリティ戦略本部のような組織を設置する(さらに民間セクターやアカデミックも巻き込む)
・人材育成を体系的に行うために、NICE(National Initiative for Cybersecurity Education)フレームワークやSecBoKは大変有用。一方で、人事異動や他組織へ適用する際にはこれらは複雑すぎる
・サイバーセキュリティ基本法制定の重要性
・国家SOC(Security Operation Center)の段階的な強化

ハノイへの帰国後、研修の内容をAISの他のスタッフに紹介するために、2020年3月6日に報告セミナーが開催されました。セミナーでは冒頭、山崎専門家から本課題別研修の概要について紹介しました。AISから約20人以上の職員がセミナーに参加し、課題別研修で学んだことを共有しました。

JICAニュースのこちらの記事もご覧ください。

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