43.海岸浸食モニタリング・システムとインパクト評価モデルの開発のために

2023年3月18日

メコンデルタは6,000年にわたりメコン川が毎年運び続ける堆積物により形成され、過去3,500年に、年平均7平方キロメートル拡大し、現在のカマウ半島や南西部が形作られてきました。しかし、近年の調査により、2005年を境に堆積物の流入や移動量に変化が現れ、2005年から2015年にかけ海岸線の拡大は徐々に減少に転じ、例えばバクリュー省からカマウ省西岸では2001年から2018年にかけマングローブ林が数百メートル規模で減少したことが確認されています。主な原因は、気候変動に伴う海面上昇や暴風・洪水頻度の変化と考えられ、カマウ省政府は2019年から3種類の形状の違う防波堤を建設・設置してきました。しかし、これらの防波堤の効果についての検証研究はいまだ行われていません。そこで本プロジェクトの社会実装モデルNo.10は、カマウ省の3形状の防波堤周辺で各種データを収集・分析することで、どの形状の防波堤をどこに設置するのが効果的かを明らかにすると同時に、海岸浸食の真の原因を解明し、海岸浸食に対する効果的な対策を提案する材料を提示します。その手始めとして、今般、カマウ省の調査対象地に波センサーおよび海底沈殿物の採取装置を設置しました。

【画像】カマウ省の位置

【画像】

波センサーは、海底から一定の高さの水中に保たれ、水圧を連続的に感知し水面の高さの変化から波を計測する

【画像】

カマウ省南西端カマウ岬沖の防波堤の内と外に波センサーを設置する

【画像】

海底に突き刺し固定した棒に波センサーは設置されている

【画像】防波堤の内と外において計測された波

【画像】

防波堤内の海底沈殿物の採取のために採取装置を海底に設置(一定期間後に回収して装置内に堆積した沈殿物の量などを分析する)