アフリカ諸国全体での理数科教育の発展を目指して-第三国研修アドバンスコースの実施-

2019年7月8日

ザンビアから発信するアフリカの理数科教育の推進

プロジェクト実施機関であるザンビア国立科学センター(以下、NSC)は、アフリカ諸国の理数科教育推進のハブとなるべく、様々な活動を行っています。その一つの活動として、アフリカ諸国の教育関係者を招いた第三国研修があります。第三国研修とはJICAが途上国間の学び合いを支援するプログラムでKCCP(Knowledge Co-Creation Program)と呼び、2017年より毎年実施されています。ザンビアでは教育現場での教員同士の学び合いである授業研究を用いた取り組みが他のアフリカ諸国に比べて進んでおり、今年度は「授業研究の現場への導入や実施方法について学ぶ研修(ベーシックコース)」と「授業研究の手法を用いて理数科授業の質の向上を図る研修(アドバンスコース)」が実施されています。

アフリカ共通の課題をアフリカ全体で解決していこう!

2019年5月には、二つの研修のうちのアドバンスコースが行われ、ガーナ、セイシェル、南スーダンなどアフリカ12か国から47人(ザンビア人26人を含む)の理数科教育関係者が参加しました。NSCのバンダ局長は、参加者に「アフリカに根差した知見の共有と創造から、アフリカ全体の教育の発展に皆で貢献しよう」と呼びかけ、参加者も意欲的に休日や夜遅くまで研修課題に取り組みました。

研修内容は、シラバス(日本の学習指導要領のようなもの)、教材(教科書等)、学習評価がその国の教育目標(目指す国民像)に対して一貫したものであるかを分析し、改善案を提案していくという非常にチャレンジングなものでした。しかし、参加者の意欲的な取り組みもあり、研修が終了する4週目には、シラバスや教科書の具体的な改善の提案まで踏み込んだ報告がなされました。例えば、各国の教育目標では、創造性や論理的な思考力の育成が謳われているが、教科書は子どもたちが自分たちで知識を構築したり、解法を導いたりといった創造性や思考力を育成、発揮できるようになっていないという指摘とともにレイアウトの改善例が示されました。

参加者の多くは、自国のカリキュラムや教科書の作成に関わっているため、これまで自分たちが行ってきた仕事をこの研修で見直した経験を生かし、各国でシラバスや教科書の改善へと今後繋がっていくことが大いに期待できます。今回の研修を通じて、アフリカの教育の諸問題は共有点が多いことが明らかになり、特に理数科のシラバスや教科書は基準となるような改訂版が作成できれば、アフリカ全体で使える可能性が大きいことが分かりました。今後も各国の参加者が協働していくことで、アフリカ全体の理数科教育を推進していく大きな可能性が期待できます。

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ザンビア国立科学センター:参加したアフリカ12カ国と日本の国旗が掲げられた

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各国のシラバス分析で白熱したディスカッション

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日本人専門家から授業や教材の分析方法についてアドバイス

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各国混成のグループで教科書の比較・分析

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問題解決型の授業の準備と実践:フルーツの組み合わせは何通りあるか(算数)

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問題解決型の授業の準備と実践:フルーツの組み合わせは何通りあるか(算数)

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閉会式後:研修の修了書を掲げて、満面の笑みの参加者