DSAPの取り組み5:チョングウェ郡でのNCDアウトリーチ活動

2019年10月9日

ザンビアの健康をめぐる課題は、HIV/AIDS、結核等の感染性疾患だけではありません。食生活をはじめとする生活習慣の変化によって増えた高血圧症、心疾患、糖尿病等の生活習慣病などの非感染性疾患(Non-Communicable Diseases、以下NCD)も重要な健康課題となっています。心疾患、がん、糖尿病・内分泌疾患は、ザンビアにおける死因の上位10疾患に入っており(注)、今後の対策が求められています。

ザンビアでは、基礎的保健サービスを提供するヘルスセンターなどでも、高血圧、糖尿病に対する診断、治療が十分に提供されていません。住民への啓発活動もまだまだ不十分な状況です。これは、検査機器や検査試薬の不足、治療薬の不安定な供給などの課題とともに、医療従事者の意識や知識が不十分であることが原因の一つと考えられます。2017年にはザンビアで初めてとなる全国規模のNCDに対する調査が実施されています。高血圧、糖尿病を含む慢性的な疾患に対する関心も高まり、今後の対策について議論がされはじめています。

プロジェクトでは、NCDの中でも特に高血圧、糖尿病に焦点をあて、研修会実施の支援、郡保健局が実施するNCDアウトリーチの運用を支援してきました。プロジェクトは対象4郡のヘルスセンターに、血圧計・血糖値測定器や測定チップを供与しました。ヘルススタッフがそれらを持って村に出向き、高血圧・糖尿病患者がいれば、スクリーニング検査(特定の疾患の疑い患者を見つけ出す簡便な検査方法)をして、疑い患者の早期診断・早期治療を進めています。

チョングウェ郡保健局のプランニングオフィサーであるアンドリュー・チバングラさんは、NCDアウトリーチ活動の主担当者です。NCDは危険因子を取り除くことで、防ぐことが出来る病気です。しかし、NCDの危険性を知らない住民は多いです。幼い頃からの食に関する健康教育、健康診断の充実、治療体制の確立等、郡保健局として包括的な取り組みが必要です。「NCDアウトリーチはまだ始まったばかりですが、疑い患者の早期診断・早期治療につながると考えています」と彼は語ります。また、チバングラさん自身、NCD予防のために、金曜日夕方には仕事仲間と共に運動を始めました。「まずは自分が実践して、生活習慣を変える行動を取り、それを広めていきたいです」と話します。

チョングウェ郡の中心部から悪路を車で50分走った所に、マルミナヘルスセンターはあります。ムフングウェ・マクネールさんはそこで準医師として働いています。また、月1回バイクで20分程の距離にあるチコロマ村に出向き、NCDアウトリーチ活動を行っています。NCDアウトリーチ活動としては、5歳未満児のワクチン接種、妊産婦検診、避妊具の配布等の保健サービスと共に行っています。会場へ来た人の中で自覚症状のある人を集め、血圧測定、血糖値測定を行っています。「この村は私のヘルスセンターから離れていますので、NCDのような自覚症状が現れにくい病気では、住民はなかなか来てくれません。ヘルススタッフが村に出向き、検査・治療をする事が大切になります」と語りました。

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アンドリュー・チバングラさん、チョングウェ郡保健局

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ムフングウェ・マクネール準医師

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マルミナヘルスセンター、チョングウェ郡