現在の場所は

所長あいさつ

日本とラオスとの外交関係は1955年に樹立されており、また1965年に青年海外協力隊が初めて派遣された国の一つでもあり、日本とラオスとの関係は非常に良好です。この良好な関係は、ODA案件を記念する切手や紙幣がラオスで複数発行されていることにも表れています。

2015年を目標年次としたミレニアム開発目標(MDGs)の達成と2020年までの後発開発途上国からの脱却というラオスの目標に貢献するべく、日本政府は、農業、インフラストラクチャー/環境、教育、保健医療の分野を支援の重点分野としています。この方針を踏まえて、JICAはこれら4つの優先分野で数々の事業を実施しています。同時に、私は、ラオスに着任以来、「ラオスらしい発展」とは何か、を常に考えてきました。フランス植民地時代の面影を残す街並み、世界遺産の古都ルアンパバン、多くの仏教寺院や緑豊かな自然など観光資源にも恵まれており、何より優しくて控えめな国民性は日本人にとってもたいへん魅力的だと感じています。ASEAN諸国の多くが、豊富な労働力と競争力を源泉とする工業化により発展してきましたが、ラオスの競争力の源泉は、労働力ではなく、豊かで美しい自然資源と環境にあるのではないかと考えています。この特徴を活かせば、ラオスは他のASEAN諸国と、自身の開発経路を差別化することができ、この開発経路はラオスモデルとしてユニークであるといえます。

2012年1月、JICAが実施した「ラオス国首都ビエンチャン都市開発マスタープラン策定プロジェクト」がラオス政府の閣議において承認を得ました。このマスタープランでは、ビエンチャンには、マルチコア都市構造(Multi-core Structure)が望ましいと提言しています。マルチコア都市構造は、サブセンターやアーバンクラスターなどの都市拠点を新たに創出することで、既成の中心市街地の拡大に伴う過剰かつ無秩序な都市機能の一極集中を回避することを狙いとしています。高層ビルが立ち並ぶような一極集中型の都市ではなく、「環境との調和がとれた街」を目指すことがラオス政府内で確認されたことになります。2030年を目標年次とした首都ビエンチャンの開発計画策定に日本が貢献し、それをラオス政府が承認・共有したという意義は極めて大きいといえます。今後は、同マスタープランに基づいたインフラ整備などを促進する必要があると考えています。

ラオスの強みを活かした開発という意味では、環境面や財政面への影響を考慮した、電気自動車等の低公害型の交通システムの導入なども検討に値すると考えています。ラオスは、石油輸入の替わりにクリーンな再生可能エネルギーである水力により発電した豊富な電力を国内運輸部門のエネルギーとして活用することが可能です。豊富かつ安価な電力に加えて、1)内陸国であること(Land-linked Country)、2)車両登録台数が少ないこと(転換が容易)、3)ラオス政府が積極的な姿勢を示していること、4)ODA投入の可能性があること、といった電気自動車導入の条件が比較的整っているといえます。低公害型の交通システムの導入によって、CO2排出を伴わない「エコ・シティ」「エコ国家」のモデルが実現可能となります。そのためには、日本の先進的な技術を駆使して、例えば都市交通セクターにおいて、より環境負荷の小さい電気自動車等を導入・普及することが現実的であると考えています。

アジアに対するODA予算は縮減傾向にありますが、産公学が連携することにより、日本と被援助国の双方に裨益をするwin-winの関係を構築することは可能だと思います。ラオスらしい発展を、日本の産公学が一体となって計画的に支援することは、環境に優しい国・社会の実現を支援するという意味で国際益の実現といえるでしょう。JICAラオス事務所としては、引き続きラオスらしい発展を支援していきたいと考えています。

JICAラオス事務所長
戸川 正人