101. 農業や水産業にソーラーシェアリングを!アグリツリー社シンポジウム開催
本プロジェクトのカウンターパートであるカントー大学(CTU)との協力に関する覚書を締結し(プロジェクトニュースレター64号参照)、本プロジェクトが目指す産官学連携活動にもご協力いただいている株式会社アグリツリーが、「ソーラーシェアリング」に関するシンポジウムをCTUで開催しました。会場となった講堂のある先端研究棟(Advanced Technology Laboratory)は、日本政府による有償資金協力(円借款)事業で建てられたものです(プロジェクトニュースレター22号参照)。本シンポジウムは、JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業(ビジネス化実証事業)」による「ソーラーシェアリング導入による農水産業の脱炭素実現に向けたビジネス化実証事業」の成果を発表する機会ともなりました。
ソーラーシェアリングは、農地の上に藤棚のような高い架台を建て、その上に幅の狭い太陽光発電パネルを設置し、農業と太陽光発電を両立し、農業を安定的に継続していく仕組みで、発電された電力を農業者、地権者、発電事業者でシェア(分かち合い)します。この仕組みはメコンデルタの農水産業のニーズにも合致しており、今回の実証事業でもその将来性の高さが示唆されました。それを踏まえ、本プロジェクトで実施しているモデル研究サイトへの応用も積極的に検討されています。
会場ではアグリツリー社から西光司代表取締役、九州大学から濱岡範光准教授、そして本プロジェクト田中チーフアドバイザーの発表があった他、TERRA社の東代表取締役、福岡市役所の中村国際経済企画課長のオンライン参加がありました。CTU側からは農学部や水産養殖学部の発表のほか、両学部や関連学部からも多くの参加がありました。日越双方の専門家による発表後には、発表者をパネリストとしたパネルディスカッションが行われ、会場からの質問を受けつつ、ベトナムでソーラーシェアリングを実施していく上での課題と展望について議論が交わされました。今後も、CTUとの産学連携を通じて持続可能な農水産業へのさらなる貢献が期待されます。
パネルディスカッションで会場からの質問に答えるアグリツリー社・西代表取締役(写真中央)、同左は田中チーフアドバイザー。
本プロジェクトを代表して発表する田中チーフアドバイザー。
シンポジウム参加者。
*写真はカントー大学Facebookより