114. 微生物資材活用による持続可能な稲作を目指す共同研究(2024年10月21-25日)
今回は、九州大学の田代幸寛准教授に日本からご出張いただき、共同研究モデル1「ベトナム・メコンデルタ地域に適した持続型農業システムの開発と応用」について、カントー大学(CTU)農学部のNguyễn Khởi Nghĩa准教授をはじめとする先生方と現地視察および研究に関する議論を行いました。
モデル1は、微生物資材と有機肥料を投入し、化学肥料の使用量を削減しながら、不耕起栽培および間断灌漑(Alternate Wetting and Drying: AWD)を組み合わせ、塩水遡上が起こる地域でも持続可能で温室効果ガスの排出を削減する稲作モデルの構築を目指しています。現在、キエンザン省ホンダット県にある実験圃場で試験研究を実施しています。同地域は現在、雨季で水量が多いため、直接現場に入っての視察はできませんでしたが、地元人民委員会の担当者と共に、同モデルの有効性と普及に向けた課題について議論しました。
また、アンザン省においては、有機農業を実践する農場に加え、微生物資材を投入し、化学肥料および化学農薬の使用削減を目指している農業事業者の圃場を訪問し、メコンデルタにおける持続可能な農業システム導入に向けての理解を深めました。農業事業者からも、モデル1で試験中の稲作法に対する期待が寄せられ、今後のモデル1研究成果の社会実装に向けた企業との人脈構築および交流に資する訪問となりました。
さらに、田代先生には、CTU農学部の学生および大学院生に向けて、特別講義を2回実施していただきました。田代先生から最新の研究成果を学べたことは、ベトナムの農学研究を担うべき若い人材にとって、視野を広げ、意欲を高める貴重な機会となりました。
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写真1:圃場での試験を行うキエンザン省ホンダット県人民委員会の方々と
写真2 有機農場で土壌の状態を確認
写真3 農学部学生に講義を行う田代先生。
写真4 講義を終えての集合写真