127. スマート農業修士課程始動!ベトナム国内での先進事例を見学(その2)(2025年1月11日)
前回(プロジェクトニュースレター第126号)に続き、「スマート農業修士課程」(本プロジェクトがカントー大学に協力して昨年11月に開設)第1期生の国内研修についてです。今回はベトナム中部高原にあるダラットにやってきました。ダラットは、ベトナムの中で特に農業先進地域として知られ、多くの企業が農業事業で参入する中、各種の先進技術の導入が図られています。その結果、ダラットの野菜や花卉は、優れたブランドイメージを有し付加価値の高い農産品としてベトナム国内外で知られています。
午前中に、ハイテク花卉栽培を行うDalat Hasfarm社を訪問しました。同社は、オランダ資本で1994年に創業し、現在ではベトナムにおける花卉生産の最大手であり、ベトナム国内はもとより日本を含めた世界各国に花を輸出しています。その生産過程には育苗、灌水など多くのプロセスで機械化、自動化が進んでいました。マーケットの求める基準に至らず廃棄せざる得ない花卉を適切に処理して有機肥料にするなど、循環型農業を目指す試みもありました。
午後にはThien Sinh Farm(ティエンシンファーム)を訪問し、循環型有機農業の先進的事例を見学しました。この農場では、日本の農業技術者が中心的な役割を果たしており、地域資源を活用することで安心安全な野菜や果物、畜産物を生産しています。自社宅配サービスの他Pizza 4P’s社(プロジェクトニュースレター第126号参照)など素材にこだわるレストランや小売店と提携しています。加えて、消費者を対象とした生産地見学会を定期的に開き、大学や各種学校の学生向け研修を積極的に受け入れるなど、地力を活かした多様な農産品づくりに関する教育にも力を入れています。
研修に参加した学生は、各種見学を通じて「スマート農業」の現状を実感し将来の在り方を考える上でのヒントを得たことと思います。本格的な勉強これからです。この研修で体得した知見を活かして修士課程での学習に精進されますよう期待しています。
関連参考プロジェクトニュース:
写真1.Dalat Hasfarm社花卉生産工程を見学
写真2 Thien Sinh Farmにて有機栽培の生産工程について説明を受ける
写真3 スマート農業修士課程国内研修参加者一同