ブータン蘇生コース(Druk Sokchop:DS)インストラクターの更なる技能向上のためのワークショップを実施しました。
2025年2月12日、ブータン蘇生コース(Druk Sokchop:DS)インストラクターの更なる技能向上を目的に、ワークショップを実施しました。今回のワークショップは、特にデブリーフィング(振り返り、報告)の知識と技能を向上する目的で行われました。参加者は、既にDSコースの実施でインストラクターとして活躍しており、多くの蘇生コースの指導を経験していましたが、今回のワークショップでは自身の技能を振り返る経験となりました。さらにワークショップ実施前後には、インストラクターたちが共通して学ぶべき内容を整理した、共通モジュール(GIM)研修を実施しました。
4回目の派遣となる染谷専門家(シミュレーション教育)は、ワークショップ実施前のGIM研修にオブザーバーとして参加し、同時に研修実施の様子をビデオ撮影し、インストラクターの指導技能を振り返るためのビデオ教材を作成しました。
ワークショップには、前日のGIM研修のインストラクターと受講者( GIM研修のインストラクター候補者)が参加し、デブリーフィングに特に焦点を当て、インストラクターとしてのスキルアップを目指しました。まずGIM研修中の自分たちの講義や実技指導の様子を撮影したビデオを客観的に見直し、長所や改善点について議論しました。ディスカッションでは、「理解している=できる」ではないこと、このギャップを埋めるにはどうしたらよいか、よい導きとはなにかなど、熱気あふれる意見交換が行われました。またインストラクターグループと学習者グループに分かれたロールプレイでは、学習者役が「未熟な医療者」や「知識も技術もあるがうまく実技ができない医療者」などを演じ、それをインストラクター役がファシリテートし、その後シナリオを振り返り(デブリーフィング)、さらにそのデブリーフィングの様子を全体で振り返るメタデブリーフィングも行われました。
Figure 1初日のGIMを撮影した動画を教材に、研修場面の振り返りを行う(於王立医科大学シミュレーションセンター)
Figure 2(ロールプレイ)2グループに分かれ、学習者役グループがインストラクター役グループのもと、AEDを使用した蘇生の様子を演じる。インストラクター役たちは、学習者の特徴を理解してうまく導けるでしょうか。
Figure 3ワークショップ後の集合写真
ワークショップ翌日には再度GIM研修を実施し、初日のGIM研修インストラクターが再びインストラクターとなり、前日のワークショップで得た技能と知識を実践する機会を設けました。
Figure 4 3日目の様子:ロールプレイ GIM受講者がインストラクター役、学習者役に分かれ振り返りを実施。その様子をGIMインストラクターが評価します。右端:染谷専門家、右から2人目、4人目:GIMインストラクター
昨年最初のワークショップと比較して、受講生たちがより自信をもって発言し、建設的な議論を行う様子が感じられました。その結果、場が盛り上がり、意見交換がさらに活発になっていました。
また今回のワークショップの教材となるビデオの撮影は、音響映像室(AV室)の担当者が行い、AV室の機材を用いて編集しました。プロジェクトが供与した機材やビデオ作成研修が活かされる機会にもなりました。
Figure 5左端:AV室担当者が、初日GIMのロールプレイの様子を撮影
ブータン 医学教育の質の強化プロジェクト
短期専門家 染谷真紀
業務調整 大石博子