ラオカイ省でシナモン栽培記録管理及び間作に関する研修を実施しました
2025年1~2月にかけて、当プロジェクトが支援しているラオカイ省バオイェン郡ビンイェン地区のシナモン生産者らを対象として、UEBT(※)持続可能性認証取得のための記録管理研修及びシナモン間作研修を実施しました。
まず1月に、ビンイェン・シナモン生産協同組合の管理者と関連するシナモン生産世帯それぞれを対象とした記録管理の研修がおこなわれました。協同組合管理者を対象とした研修では、シナモンの生産から事前処理・加工といったサプライチェーン全体における記録管理の重要性、記録・管理方法の実習、労働時間や労働契約などの労働関連規制について学びました。一方、シナモン生産世帯を対象とした研修では、参加者がUEBT基準に準拠したシナモン栽培の生産日誌の記録方法、世帯レベルでの記録・管理の実践、シナモンの生産にかかる費用と収益の計算を学び、グループに分かれて、生産費用に基づく産品の値段を算出する方法を学びました。今後、対象地域のシナモン生産者がUEBTの基準に即した記帳管理ができるよう、継続的かつ体系的に研修の内容を実践することが求められています。
2月に行われた研修では、有機シナモン栽培とシナモン林における薬草類の間作についての研修を実施しました。間作に選ばれた薬草品種はKhôi tía(和名:ヤブコウジ)、Bách bộ(和名:タマビャクブ)の2種でした。参加者達はみな非常に積極的かつ熱心で、学んだ知識を早速自分の土地で実践したいと話していました。研修に参加したホアン・コン・ドン氏は 「以前、腹痛があった際に村医者が薬用植物を紹介してくれました。お茶にして煎じて飲んだら調子が良くなったので、何株か譲ってもらって自分でも植えました。今では家族全員がお茶を水のように飲んでいます。近所の人達が、譲ってほしいと訪れますが、みんなに分けるほど十分な数がありませんでした。後に、その植物がKhôi tíaであることを知りました。今回、プロジェクトが、シナモン林にKhôi tíaとBách bộを間作するモデルを支援していることを知り、シナモンの数を減らしてでも、すぐに実践しようと家族で話し合いました。最初のうちは、シナモンからの収入が減るかもしれませんが、健康上の利益がもたらされることで、長期的には多くの利益を得ることができると信じています」と講義中に、自身の体験談を紹介してくれました。
講師は研修で共有されたことは、あくまでも知識であり、シナモン生産世帯と協同組合が共に活動を継続していくことが最も重要であると強調しました。プロジェクトでは、対象グループのUEBT認証取得へ向けて引き続き支援を続けていきます。
※UEBT:生物原料の流通に関する倫理組合
UEBT認証については過去のニュースをご覧ください。(https://www.jica.go.jp/oda/project/1941864/news/20240319.html)
講師と内容を確認しながら記録管理のグループワークに取り組む様子
地域の森林保安官も参加して意見を交わした
シナモンの最低販売価格の設定方法について発表
有機シナモン栽培の研修
Khôi tíaの効能について話すホアン・コン・ドン氏
Khôi tía を煎じたお茶
間作の実践場所を選ぶ様子
参加者が鍬をつかってシナモン林を耕す様子
植える前に苗について講師が説明を行う
森林保安官が研修の様子を撮影して記録に残し、他の住民にも間作モデルの紹介をする
実際にシナモン林に間作された苗
鍬で土を耕した後は、手で植える作業が続く
Bách bộの苗
ホアン・コン・ドン氏の庭に植えられたKhôi tía