日本の母子栄養改善についての知見を学ぶ本邦研修の実施
2024年10月19日(金)~10月31日(木)、グアテマラの政府関係者を日本に招き、研修を実施しました。本研修は、日本の経験や知見を学び、それをグアテマラの現状に即した形で母子栄養改善に適用することをねらいとしており、関東圏(東京都、茨城県、千葉県、神奈川県)にて、行政機関、医療機関、保育施設、ボランティア団体などの協力を得て、実施されました。
研修には、プロジェクトと連携し母子栄養改善に従事する保健省(国・県・市・コミュニティレベル)および大統領府食糧栄養安全保障庁の職員9名が参加しました。2週間の研修では、栄養改善の制度・政策、栄養士による母子栄養改善活動、栄養改善・食育のためのセクターを超えた連携、住民参加型の生活改善活動などをテーマに、講義、視察、体験学習を実施しました。
研修では、日本が経済発展前から栄養改善を進めてきた事例や、手作りの教材や料理レシピを活用した現場の取り組みが紹介されました。参加者は、日本の地域資源を最大限に活用する考え方に共感し、母子栄養改善への取り組みに対する意欲を高めました。また、日本での住民の興味・関心を引く栄養教材や、楽しみながら学べるイベントを通じた啓発活動や栄養教育に対しても、高い関心が寄せられました。
研修の締めくくりとして、帰国後に研修の学びを活かし、プロジェクトの促進・強化につながる活動を行うため、アクションプランを作成し、発表を行いました。研修員が作成したアクションプランは、「Utz Waim* 〜栄養教育を通じた健康的な食生活の実現〜」をテーマに、栄養教育を通じて補完食を推進していく活動計画が示されました。グアテマラでは生後6か月からの補完食が推奨されていますが、プロジェクト対象地域の農村部では、適切な開始時期や食材の選択が行われておらず、子どもの健康や発育に影響を及ぼす課題となっています。このため、地域の保健医療従事者やプロジェクトの研修を受講し母子栄養改善の活動を行うコミュニティ人材を巻き込み、乳児の保護者への補完食指導を強化することが計画されました。このアクションプランには、日本の離乳食教室や乳幼児健診における栄養士や行政職員、ボランティアの役割や指導方法、運営の工夫が取り入れられています。
プロジェクトは今後、このアクションプランの実施を支援し、母子栄養改善に向けた協働を進めていきます。
※Utz Waim: キチェ語で「よく食べる」を指す。プロジェクトの優先コミュニティを対象に、2歳未満児を持つ母親に対して栄養教育を通じた健康的な食習慣に関する指導を実施し、母子栄養の知識の普及と乳幼児の成長促進を目指す。
写真1:三色食品群のクイズ教材についての紹介
写真2:食生活改善推進員のレシピ検証のための調理活動に参加
写真3:生活改善グループによる子ども向け紙芝居教材の実演