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【更新情報】東ニューブリテン州でのリンパ系フィラリア症IDAインパクト調査の結果

第1回IDAインパクト調査の結果

東ニューブリテン州(以下、「ENBP」)では、2019年12月に1回目の駆虫薬の集団投薬(以下、「MDA」)、2022年6月に2回目のMDAを完了し、いずれもWHOの推奨基準である65.0%の投薬カバー率を上回りました。このMDAの効果判定のために昨年4月末から実施された第1回IDAインパクト調査※1は、同年6月に終了しました。なお、事前研修※2と調査開始については、過去に記事を掲載しています(下記参照)。

本調査では、州内のランダムに選択された30村落、計3,160人を対象に、迅速検査キット(Filariasis Test Strip、以下「FTS」)を用いてリンパ系フィラリア症(以下「LF」)の抗原の陽性・陰性を判定し、FTS陽性者には追加で夜間採血※3を行い、感染伝播の際に蚊がヒトから吸血する血液中のミクロフィラリア(Microfilaria、以下「Mf」)の有無を顕微鏡下で確認しました。調査の結果、FTS陽性者は州内3,160人中73人(陽性率2.3%)であり、そのうち追加の夜間採血でMfが確認されたのは、ポミオ県内同一地域での2人のみでした。この結果を受け、WHO本部より本調査は達成(Pass)と評価され、ENBPにおいてIDA療法を用いたMDAによるLFの流行抑制が確認されました。一方で、上述のMf陽性2例が確認された地域では、Mf陽性率が1%(2/105例)を超えているため、地域限定での追加的なMDAが推奨されることとなりました。

連携の成果

FTS検査に加え、夜間採血によるMf試験を実施するIDAインパクト調査は、パプアニューギニアにおいて今回が初の試みでした。本調査の成功には、州保健局(Provincial Health Authority、以下「PHA」)のリーダーシップの下、各団体の緊密な連携が大きく貢献しました。

IDAインパクト調査は局所的な調査であり、MDA実施と比較すると小規模ではあるものの、MDA実施と同様に地理的な課題や予算制限など、さまざまな課題を抱えています。特に、FTS陽性者に対して、夜21時以降の夜間採血が必要となる場合、夜間採血への理解と同意の取得、採血後の血液検体の輸送および迅速な標本の作成、時間的な制限、治安面の問題などが懸念されていました。こうした課題や懸念がある中で、調査の実施主体であるPHAがリーダーシップを発揮し、レンタカー会社やパプアニューギニア医学研究所(PNG-IMR)と連携することで、調査を円滑に進めることができました。その結果、予定通り調査を完了し、採取された血液検体は全てPNG-IMRの検査技師(ラボテクニシャン)によるMf試験を実施されました。さらに、州内でも特に遠隔地であるポミオ地域の調査については、この地域が雨季初頭にあたり、厳しい調査環境であったにもかかわらず、ココポのPHAチームによる現地でのヘルスワーカーへの事前研修を実施した後、約11日間の行程で無事に調査を完了しました。これは、PHAを中心とする強い団結力があったからこそ達成できた成果であると考えられます。

なお、本プロジェクトからは、調査に必要な主要物品の提供、傭上車両や小型ボートの調達、調査経費の支援、事前研修の実施に加え、集計データに関する事前説明や確認作業を行いました。また、FTSおよびIDA三種薬剤はWHOを通じて提供されました。

今後の計画

ENBPでの今後の活動としては、本調査結果を受け、追加的なMDA実施が必要と判断された地域でのMDAの実施が挙げられます。また、2026年以降に第2回IDAインパクト調査に向け、今回の調査で得られた教訓や改善点を踏まえ、円滑な実施に向けた事前準備を進めていく必要があります。

LFの制圧には、IDAを用いた2回のMDA終了後、隔年で3回のIDAインパクト調査を実施し、すべて達成(Pass)することが求められます。さらに、今回のようにMf陽性例が確認された地域では、今後も地域限定での追加的なMDAの実施が必要となる場合があります。これらのプロセスを一つずつ確実に進めるため、各団体と連携しながら、対象地域におけるLFの制圧を目指していきます。

注釈

※1:三種薬剤(イベルメクチン、ジエチルカルバマジン(DEC)、アルベンダゾール)のそれぞれの頭文字を取って「IDA」と呼び、これら三種薬剤を用いたMDAの実施後の評価調査を「IDAインパクト調査(IDA Impact Survey(IIS))」と呼ぶ。
※2:当日研修を欠席したヘルスワーカー2名については、研修参加者からのフォローアップ研修を別途受講。また、遠隔のポミオ地域においては、PHAチームにより別日程でヘルスワーカー7名が事前研修を受講しました。
※3: ミクロフィラリア(Mf)は夜間に血中に出現する特性を持つため、Mfの確認調査においては夜間採血が必要となる。

タイムライン(第1回IDAインパクト調査)

2024年1月 調査実施計画(マイクロプラン)の確定
2024年2月~4月 調査活動に必要な物品等の調達・仕分作業
2024年4月末 調査実施者(PHA関係者)向けの研修実施
2024年4月末~5月 IIS調査実施①(約10日間。一部ポミオ県の対象地域を除く。)
血液検体のMf有無を確認
2024年6月 未実施のポミオ県の対象地域でのIIS調査実施②(約11日間)
2024年6月~7月初旬 上記②の血液検体のミMf有無を確認、データ集計作業
2024年7月 WHOによる調査報告に対するフィードバック受領

これまでの進捗をJICAパプアニューギニア事務所のホームページで掲載(リンク参照)しています。

  • 「東ニューブリテン州でのリンパ系フィラリア症のIDAインパクト調査に関する医療従事者向けの研修実施支援とその調査の開始」(2024年5月23日付)
  • 日本語版
  • 英語版

【画像】

ココポ近郊でヘルスワーカーが夜間採血を実施している様子

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PNG-IMR検査技師によるMfの確認

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本調査で確認されたMf例

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遠隔地のポミオ地域で調査を行うPHAチーム

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LF制圧までのロードマップ