東ニューブリテン州でのリンパ系フィラリア症のIDAインパクト調査に関する医療従事者向けの研修実施支援とその調査の開始
2024.05.23
2024.05.23
JICAはパプアニューギニア(PNG)保健省をはじめとする関係パートナー団体と共に、「フィラリア対策プロジェクトフェーズ2」を実施しています。PNGは、世界保健機関(WHO)の指定する顧みられない熱帯病(NTDs)の一種であるリンパ系フィラリア症(LF)の蔓延国の一つと認定されており、LFの伝播を阻止するために、LF対策実施能力の強化、MDA(集団投薬)実施運営能力の開発・強化、TAS(MDA実施後の感染拡大状況把握のための定点調査)実施運営能力の開発・強化、疾病管理と身体障害の予防活動のための能力向上等を行っています。これらの活動によって、LF対策の強化と全国拡大に向けた制度化を図り、感染拡大を阻止します。
4月25日、JICAを含めたフィラリア対策プロジェクトチームは、東ニューブリテン州でのMDA実施後の伝播抑制を把握するインパクト調査に先駆けて、調査チームを対象とした研修を州都ココポにて実施しました。本調査は、過去のMDAで使用した3薬剤(イベルメクチン、ジエチルカルバマジン(DEC)、アルベンダゾール)のそれぞれの頭文字を取って、IDAインパクト調査と呼ばれています。この方法でのMDAの評価はPNGでは初めてです(※過去の他州でのMDAでは2剤で実施したため、別の方法(TAS)で行われました)。この研修では、医療従事者向けに検査キットの使用方法、夜間採血を含む採血方法、採血結果の記録方法や具体的な調査の流れなどについてWHO、パプアニューギニア医学研究所(PMG-IMR)、JICAから説明が行われました。なお、本研修には州保健局関係者計26名が参加しました。
今後実施するインパクト調査ですが、まず州内のランダムに選定された30村落・町にて、採血の同意書による確認を受けた住人105人(30村落・町の合計で3,150人)に採血を行い、迅速検査キットを用いてLF抗原の陽性・陰性を確認します。そして、LF抗原陽性者には更に追加で、夜間に採血を実施して、蚊の吸血時に取り込まれるミクロフィラリアの有無をチェックします。その結果を受けて、陽性者には薬剤の追加投薬を行うという流れになります。現在、本調査、モニタリング、集計作業が同州内の各地域で実施されています。
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