開発途上国が経済社会のデジタル化に適切に対応し、その恩恵を享受、リスクを削減することに取り組みます。デジタル・データを課題解決に活かし、人びとの安全を確保する持続可能で強靱な社会、一人ひとりが多様な機会・幸せを実現できる社会の実現を支援します。
デジタル技術の飛躍的な進歩とデータ流通量が増加する中、デジタル化への適応は各国の経済社会の発展に不可欠です。一方で開発途上国では、社会の各領域でデジタル化を推進し、その恩恵を得るための対応力は十分でなく、デジタル化を担う国内の人材・産業も不足しています。また、情報通信基盤の未整備(全世界の43%がインターネットなし)、サイバーセキュリティへの対応不備も課題となっています(200万人のセキュリティ人材の不足)。また、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に、世界のインターネット人口はさらに加速度的に増大し、途上国におけるデジタル化へのニーズも一層高まりました。こうした背景のもと、国際機関や各国援助機関等の国際協力分野の潮流においても、本分野の協力は益々重視されていくものと認識されています。
開発途上国の成長、国際社会の発展は、世界で主流化しつつある経済や社会活動のデジタル化への対応なしには、適切に進み得なくなっています。そのため、途上国がデジタル化の恩恵を享受し、そのリスクを削減することへの支援は今後ますます重要なテーマとなります。また、国境を越えて広がる安全なサイバー空間は各国が協力して構築する必要があり、日本にとっても重要な事項です。日本は、先端技術を生活に取り入れることで経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会(Society 5.0)や信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の実現に取り組んでいます。途上国との長年の協力パートナーであるJICAとして、これらの課題に国内の知見・技術を活かしながら取り組みます。
デジタル化の進展に力を発揮できる人材を育成します。また、その人材が活躍できる民間部門/ICT関連産業の創出に取り組みます。
民間部門と連携・分担を図りつつ、デジタル・デバイド(情報格差)解消をはじめとした公的支援が必要な通信基盤への協力を政策支援を含めて実施します。
自由で安全なデジタル社会の実現の価値観の共有と共に、各国のサイバーセキュリティへの対応能力強化を支援します。具体的には、サイバー空間に関する政策・制度及び施策実施のための組織作り、各種インシデント対応態勢強化、公的セクター・民間セクターでの官民が連携した対応態勢の構築、国民のリテラシー向上といった協力を行います。
なお、デジタル分野の協力推進にあたって、有効な技術・知見を持つ、国内外の民間企業、公的機関といったパートナーとの連携も積極的に図っていきます。