自然環境保全

自然環境保全

グローバル・アジェンダの目的

自然環境保全と人間活動の調和を図り、自然環境の減少と劣化を防ぐことで、自然環境からの様々な恵みを享受し続けられる社会の構築を目指します。

背景と課題

(1)森林の減少・劣化

世界の陸域の3割、40億ヘクタールを占める森林は、生物多様性、水源涵養、炭素固定等様々な重要な機能を持っていますが、環境に配慮しない農業活動等の人為活動を主な要因とする土地利用の変化により、減少を続けています。近年は、一部地域の大規模植林等により、世界全体では減少速度は緩やかになってきていますが、アフリカや南米の熱帯林では依然著しい減少傾向が続いています。
これにより、世界の二酸化炭素排出の11%が森林の劣化・減少から排出され、水源涵養機能や国土保全機能の低下による災害リスクの増加、生物多様性の損失、自然資源の依存度の高い貧困地域の貧困増大などが生じています。

(2)湿地の自然環境の減少・劣化

生物多様性保全上、極めて重要な生態系である湿地の環境は、主に土地利用の変化により大きく変化し、1700年に存在した湿地のうち、2000年までに87%が失われ、貴重な生物多様性が失われています。また、湿地に存在する泥炭は多くの炭素を貯留していると言われていますが、農業活動による土壌の乾燥化や火災の発生等により大量の温室効果ガスの放出が生じており、保全対策が急務となっています。

(3)沿岸域の自然環境の減少・劣化

海域、特に沿岸域は生産性が高く生物の多様性も高い重要な生態系ですが、例えばマングローブ林はエビ養殖場などへの転換により、この30年間で全体の約7%に相当する約100万ヘクタールが減少しています。また、サンゴ礁や海草藻場も、陸域からの土砂の流入などによる劣化も見られています。これらにより、多くの生物の棲処が奪われるとともに、沿岸域住民への生計手段損失や、高波・高潮、津波などの自然災害の軽減などの機能が損なわれています。

(4)日本・JICAが取り組む意義

自然環境に依存し、その変化の影響に脆弱な貧困地域が多く存在する開発途上国にとっては、自然環境の劣化は食料や水等の資源の枯渇・汚染、生産基盤の損失、自然災害の発生等により、人命や生活が脅かされ、人間の安全保障にかかわる問題です。同時に気候変動の一因となるなど国境を越えたグローバルな課題でもあり、日本も含め、世界中の国々の発展や人々の生活に大きく影響する問題となっています。
日本は、江戸中期頃には木材の過剰利用等から森林率が5割程度に落ち込み、自然災害が頻発していました。しかし、江戸後期以降の関連制度制定や技術進歩に伴い、現在では森林率を7割まで回復させてきました。また、日本は人口密度が高く国土が限られていますが約400の自然公園が指定され、優れた自然保護と利用の増進の実践が図られています。このように明治以降の経済発展と自然保護を両立させてきた経験とともに、近年では日本が持つ人工衛星技術等の最新技術も織り交ぜて、自然環境の保全に貢献することが可能です。

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

主要な取り組み

以下の2つのクラスターに重点的に取り組みます。

(1)陸域持続的自然資源管理クラスター(森から世界を変えるイニシアティブ)

  1. 熱帯林では、各地域の森林減少の要因(商業目的の大規模農業や地域住民による小規模農業等)に応じて森林の減少、劣化を防ぐ取り組みを行います。
  2. 乾燥・半乾燥地等では、耐乾性の強い樹種による植林等による森林の回復や、アグロフォレストリーの導入による代替生計向上等を実施します。またそれ以外の温帯林等の地域を含め、土壌劣化対策や、植林による治山等の生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)や、森林火災情報システム整備等を行います。
  3. 湿地では流域ランドスケープレベルでの統合的管理体制構築等の生態系保全・回復を実施します。また、泥炭地においては、マッピングやモニタリング、土壌乾燥化・火災の防止等に取り組みます。

2030年までに、陸域の自然環境保全を担う中央/地方政府における40以上の機関の体制が強化され、行政官等が1万人養成されることを目指します。

(2)沿岸域持続的自然資源管理クラスター(海から世界を変えるイニシアティブ)

特に島嶼国や熱帯地域の沿岸域を対象としてマングローブ林やサンゴ礁等の保全・回復を行います。

2030年までに、沿岸域の自然環境保全を担う中央/地方政府における8以上の機関の体制が強化され、行政官等が2千人養成されることを目指します。