JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム(JJ-FAST)

1.JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム(JJ-FAST)運用の背景

開発途上国における資源消費の増大や大規模な開発は、森林減少や土壌劣化、生物種の絶滅など自然環境の破壊をもたらしています。開発途上国において自然環境は特に所得レベルの低い住民の生活に密接に繋がっていることから、自然環境の破壊は貧困の深刻化の要因にもなっています。また、熱帯林は気候変動への影響が大きいことから、その保全は全世界において喫緊の課題とも言われます。

JICAは、2009年から2012年にブラジルにおいて「アマゾン森林保全・違法伐採防止のためのALOS衛星画像の利用プロジェクト」を実施し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力の下、準リアルタイムでの違法伐採の特定・監視システム構築及び人材育成に関する協力を行った結果、違法伐採を2,000件以上検出し、その抑止効果により、40%の森林面積減少抑制に寄与するなど大きな成果を得ました。このシステムには、天候や雲に影響されずに観測が可能な衛星だいち(ALOS)のデータが使われました。また、2012年以降、アジア、中南米、アフリカにおいて、衛星データも活用した森林資源管理のための支援を行っています。

熱帯林を有する開発途上国において、天候や雲の影響を受けない通年の森林監視へのニーズが増加する中、JICAは、世界の熱帯林の変化を集中的に解析し森林減少地を検出する広域対象のシステムを構築することにより、効率的に当該分野の協力の展開を図る方策を検討してきました。

その結果、JICAとJAXAの連携の下、開発途上国の森林資源の保全及びそれを通じた気候変動対策や生物多様性保全への貢献を目的とし、「JICA-JAXA熱帯林監視プログラム」を実施することとなりました。本プログラムでは、主に、違法伐採による森林減少抑制施策に貢献する「JICA-JAXA熱帯林早期警戒システム(JJ-FAST)」ウェブサイトの構築・運用及び係る人材育成を行います。また、本システムの活用促進により、森林ガバナンスの改善を目指す「森林ガバナンスイニシアティブ」を打ち出し、国際セミナーの開催や気候変動枠組条約(UNFCCC)締約国会議(COP)を含む国際会議等での発信を行います。

2.JJ-FASTについて

JJ-FASTは、天候や雲に影響されずに観測が可能なだいち2号(ALOS-2 LバンドSAR(Scan SAR))データを用い、中南米、東南アジア、アフリカの熱帯林78か国の森林変化を約45日おきにウェブサイトで公開するシステムです。運用予定期間は、2016年4月15日から2023年7月31日まで(約7年4か月間)です。

3.取組みの紹介

(1)会議やセミナーの実施

(2)各国での取組

準備中

(3)その他の取組み