都市・地域開発

都市・地域開発

#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#13 気候変動に具体的な対策を
SDGs

都市行政の能力を強化し、産学官やコミュニティなど多様な関係者とともに住みよい街をつくります。

グローバル・アジェンダの目的

幅広い関係者やリソースが開発に参加し、望ましい都市・地域空間の形成に貢献し、相互に便益を得ながら発展を継続する自律的な都市・地域マネジメントを実現することにより、都市化によって生じる様々な問題を回避・解決するとともに、都市化が生み出す新たな可能性や豊かさの実現を目指します。

背景と課題

(1)都市化の影響と課題

開発途上国で急激な都市化が進み、都市人口は1970年の6.8億人(都市人口比率25%)から2050年には52.3億人(同66%)に増加。都市化は第3次産業の発展と新たな雇用の創出により人々の暮らしを豊かにする一方、自然環境や居住環境の劣化、交通渋滞、災害リスクの増大、住民の格差拡大による社会の軋轢や治安の悪化など多くの問題を引き起こしています。
コロナによる影響を断定することは困難ですが、途上国では都市部と地方部で経済集積や雇用機会には歴然とした差があり、都市化のトレンドは今後も変わらないと見られます。

(2)都市を越えた影響と課題

中心都市への過度な集中が生じる一方、郊外や地方からは人口が流出、地域産業が停滞・衰退、都市部との格差が拡大しています。グローバリゼーションの恩恵を取り込むため求められる産業開発やインフラ整備などでの国を越えた広域の視点が不足している状況です。

(3)G空間情報の活用

地理空間情報(G空間情報)は、土地境界の明確化、各種インフラの計画の基礎などの従前の地図の役割を超えて、即時の位置情報の活用により、新たなインフラとして人々の生活や経済活動に不可欠なものになってきています。しかしながら、途上国においては、国際的な位置基準との統一、複数機関の地図や位置情報の間の互換性、デジタル基本図や高精度な測位環境を利用できる環境整備が進んでいません。

(4)日本・JICAが取り組む意義

日本は、欧米以外でいち早く近代化と急速な都市化を経験した国です。戦後、工業化と都市化の中、スプロールや住宅不足、環境汚染などの問題を克服してきました。JICAは、開発計画からインフラ整備につなげた豊富な実績を持ち、近年は都市や国土の将来像や開発戦略の提示、住民参加アプローチ、土地利用や開発管理等に対象を拡大しています。
G空間情報分野では、国土地理院と連携した基本図作成支援の経験、世界最高密度の電子基準点網、準天頂衛星システム「みちびき」による高精度位置情報提供サービスが、国際協力の基盤となります。

主要な取り組み(クラスター事業戦略)

自律的な都市・地域マネジメントのためには、都市・地域の目指す姿を見据え、適切な土地の利用や施設の空間配置を定め、各主体の利害を調整し、計画、整備、管理運営等を行い、個別の開発事業の重ね合わせでは得られない全体最適を司る役割を行政機関が担えることが重要であり、また、G空間情報の整備・活用は都市・地域マネジメントの基盤として今後不可欠になることから、以下の取組みを重点的に実施します。

(1)クラスター「都市マネジメント・まちづくり」

都市行政機関とともに、都市ビジョン・政策・計画(マスタープラン)の策定、開発管理制度整備、スマートシティやTOD(公共交通中心の都市開発)などの新たな開発手法の導入、施策展開を促進することによって、持続可能な都市の実現とともに、都市行政機関の能力向上や、都市マネジメントに関わる幅広い関係者の人づくりに貢献します。
都市マネジメント能力の向上によって、事業機会の創出とリスクの低減につなげ、民間やコミュニティの参画を促し都市開発エコシステムを形成します。

サブセクターの紹介

(2)クラスター「G空間情報の整備・活用」

世界測地系の導入、国土基本図・電子基準点網・NSDI(国土空間データ基盤)構築といったG空間情報の整備・公開、利用環境整備、利用促進及び人材育成を対象国の状況に合わせてパッケージ化して取り組みます。

オープンデータ政策のルール作りを行い、防災や自動運転など官民の利活用につなげていきます。

(3)地域開発・回廊開発

指針・計画性を示し地域のコネクティビティ(連結性)を向上させることで新たな成長機会を創出。対象地域を一つの経済圏と捉え、農村には市場への供給ルート、産業にはサプライチェーン、国土には一体感を構築する取組を行います。