平和構築

平和構築

#16 平和と公正をすべての人に
SDGs

誰ひとり取り残さない平和な社会を実現するため紛争を発生・再発させない強靱な国・社会づくりに真献します。

グローバル・アジェンダの目的

暴力的紛争を発生・再発させない強靭な国・社会づくりに貢献し、平和で包摂的な社会を実現する。
紛争リスクを低減し、国・社会が危機に対応する能力を強化することを目的に、JICAは、住民から信頼される政府をつくるための上からの政府の能力強化・制度構築と、強靭な社会を形成するための下からの住民・コミュニティの能力強化という、保護と能力強化を組合せた人間の安全保障アプローチを取る。

背景と課題

(1)紛争の増加と性質の変化

  • 世界の武力紛争の数は2015年頃から再び増加して2020年には56件、世界の難民・避難民も8,240万人を数え、いずれも過去最大となっている。特に2015年以後の紛争数の増加のほとんどは、近隣国に広がったり、第三国が介入する「国際化された国内紛争」で、紛争の長期化と国際化が顕著。「紛争後の復興支援」事例は減少。
  • コロナ下では、ロックダウン等の影響で一時的に紛争・暴動が減少したが、政府の対応や経済停滞への不満、社会的な対立の激化により、紛争・暴動は悪化の傾向。

(2)民主化の停滞

  • 紛争予防には包摂的で強靭な国・社会が必要。一方で、民主化は停滞しており、コロナ禍を機に、感染抑制のための政府の抑圧的な対応、強権化も見られる。制度の押し付けは困難で、各国・地域の状況に応じ、対話を通じた国・社会づくりが求められる。

(3)紛争の長期化と国際化

  • 紛争の長期化に伴い、難民の77%は5年以上の長期化した避難状況に置かれ、人道と開発と平和の連携(HDPネクサス)の必要性が増している。
  • 紛争の国際化の一因は暴力的過激主義の蔓延。教育、経済、政府への信頼の改善と共に、予防や被害者支援のためにはメンタルヘルス等の心理社会的なアプローチも必要。

SDGsポジションペーパー

主要な取り組み

(1)人間の安全保障アプローチによる紛争予防と強靭な国・社会づくり

  • 政府の能力強化・制度構築:社会サービスやインフラ整備を含めた機能的・包摂的・応答的な行政サービスの改善、法整備支援等の法の支配の強化等。
  • 強靭な社会の形成:コミュニティの社会統合・エンパワメント、社会・人的資本の復旧・復興・強化、雇用の創出等の経済の活性化等。

分野横断的にこれらの協力を進めるために、各国・地域において、政治・経済・社会の側面から不平等や疎外といった紛争リスク要因を分析し、国別・課題別の取組みにおいての平和の促進・紛争予防配慮を主流化する。
主な重点課題は、TICAD8に向けた「平和と安定」への貢献、ミンダナオ和平プロセスへの貢献、HDPネクサスへの対応(ウガンダ北部、ザンビア現地統合等)、ミャンマー・ラカイン州からの避難民問題等。
特に重点地域については、分野横断的に協力を束ね、平和の促進・紛争予防への貢献を目標とするクラスターの設定を検討する。現時点では、アフリカ部と協力してTICAD8に向けてサヘル地域の平和と安定について分野横断的なクラスターの設定を試行し、他地域での類似のクラスター設定を検討する。

【例:サヘル地域の平和と安定クラスター】

(2)クラスター:脆弱地域における地方行政能力強化・強靭な社会の形成と信頼醸成

過去の紛争経験、難民・避難民の影響、暴力的過激主義の浸透等、特に高い紛争リスクを抱える地域(脆弱性の「ポケット」)に対して、住民に最も近い地方行政を中心に、技協・資金協力を活用し、(特に治安上の制約のある地域で)国際機関とも連携して、包摂的な行政サービスの提供や共存可能な社会の形成に向けた支援により、対話を通じて政府と住民及び住民間の信頼醸成を促進する。難民・避難民については、人道・開発・平和(HDP)のネクサスの観点から、ホスト・コミュニティと共存する社会の形成を支援する。