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保健医療

保健医療

#3 すべての人に健康と福祉を
SDGs

どんなときでも人々の健康を守る体制づくりを推進します。また、これを通じて、すべての人々が、いつでも必要な保健医療サービスを経済的困難なく受けられる強靭、公平、持続可能な「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の達成に貢献します。

グローバル・アジェンダの目的

平時からの公衆衛生危機に対する予防・備え・対応の強化を含む各国での保健システム強化を通じ、より強靱・公平・持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ( UHC )の達成を目指します。また、すべての人が健康とウェルビーイングを享受することで、命、暮らし、尊厳を守り、人間の安全保障の実現に貢献します。

背景と課題

(1)現状と課題

2020年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックや戦争の悪化、地政学的緊張や気候変動の影響で、SDGs指標の進捗は停滞や後退を余儀なくされています。2023年のUHCグローバルモニタリング報告書によると45 億人が基礎的な質の高い保健サービスを享受できず、毎年約10 億人が家計逼迫を招く医療費を負担している現状にあります。気候変動をはじめ地球規模課題が顕在化する中、保護・エンパワメント・連帯の3本の柱からなる新たな時代の人間の安全保障の観点からも、疾病負荷の変化を考慮したサービス提供と、誰にとっても過大にならない医療費負担が求められています。

(2)課題別事業戦略の目的設定の理由

新型コロナウイルス感染症のパンデミックの経験、気候変動をはじめとする地球規模の課題、新たな人間の安全保障の考え方、さらに、2022年に日本政府が策定したグローバルヘルス戦略等をふまえ、適切なガバナンスの下で、財政、人材、医療施設・機材・医薬品、保健情報といった資源を適切に動員・活用し、平時・危機時を問わず人々が安心して必要で適切な保健サービスを受けられるような、保健システムの強化が重要となっています。これによって、より強靱・公平・持続可能なUHCを実現し、平時と危機時の双方に対応できるようにすることを目指します。

(3)日本・JICAが取り組む意義

戦後の感染症対策、母子保健の改善や国民皆保険によりUHCを達成・維持してきた日本自身の開発経験の成果と教訓とともに、途上国のオーナーシップを重視し、ハード・ソフト両面で中央から地方まできめ細かく支援するJICAの開発協力の経験を活用することが可能です。こうした経験を活用し、世界と連帯した協力の展開により、平和と繁栄の礎である人々の健康の促進を図り、自由で開かれた国際秩序の維持・構築に貢献することには大きな意義があります。

主要な取り組み

より強靱・公平・持続可能なUHCの達成のため、以下(1)~(4)のクラスターを設定します。

(1)保健医療サービス提供強化クラスター

保健システムを構成する「ガバナンス・リーダーシップ」、「人材」、「施設・医療機材」、「財政・保健施設マネジメント」、「保健情報」の強化に取り組むものであり、JICAは特に人材育成と保健施設機材整備、施設マネジメントを含む保健医療サービスの質と量の向上に取り組みます。その際、強靭性、公平性、持続可能性を高める取り組みを推進します。

(2)感染症対策・検査拠点強化クラスター

既存のネットワークも活用し、1)感染症検査・研究拠点の新増設・拡充や専門人材の育成、2)COVID-19の検査体制の整備を通じた感染者の早期発見や接触者追跡の強化、3)国境水際対策の強化等に取り組みます。

(3)母子手帳の活用を含む質の高い母子継続ケア強化クラスター

感染症等の健康リスクに脆弱な母子を守ることは、イニシアティブにおける予防強化の観点からの最優先事項である。母子手帳等の活用も促進しつつ、妊産婦・子どもに質の高い保健サービスを継続して提供する体制の強化を目指します。

(4)医療保障制度の強化クラスター

上記(1)~(3)のサービス提供に加え、アクセス改善に資する財政面の強化のため、医療費負担を社会が共有する政策・制度の構築・拡充を支援し、コミットメントの高い国に対し実行を後押しする開発政策借款等の資金協力も行います。

このほか、高齢化対策については、アジアや中南米における高齢化が急速に進展する中で、社会保障、国家財政、まちづくりなど分野横断的な取組みが一層必要であることを踏まえ、分野・クラスター横断的に取り組みます。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックに際してJICAが立ち上げた「JICA世界保健医療イニシアティブ」についてはこちら。

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