保健医療

保健医療

グローバル・アジェンダの目的

新型コロナウイルス感染症等への対応を強靭化し、人々の生活の基盤となる健康を守る体制作りを推進すべく、「JICA世界保健医療イニシアティブ」に重点的に取り組みます。これを通じ、長期的には公衆衛生上の危機下においても、社会的経済的弱者を含むすべての人が必要なサービスを、経済的困難を被ることなく受けられる、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成に貢献します。

背景と課題

(1)現状と課題

2020年からの新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界各国の保健システムの脆弱性を露呈しました。35億人が基礎的な質の高い保健サービスを享受できず、毎年約8億人が家計逼迫を招く医療費を負担している現状にあり、各国間・国内健康格差がますます顕在化しています。

(2)課題別事業戦略の目的設定の理由

多様化する健康課題のうち、目下の最重点である公衆衛生上の危機への対応を強靭化し、新型コロナウイルス感染症の世界的な影響から健康を守る体制作りの強化が重要であることから、世界との連帯と信頼に基づく「JICA世界保健医療イニシアティブ」の推進に注力します。同イニシアティブを通じた保健医療体制の強化を進め、長期的にはUHCの達成を目指します。

(3)日本・JICAが取り組む意義

戦後の感染症対策、母子保健の改善及び国民皆保険によりUHCを達成・維持してきた日本自身の開発経験の成果と教訓、並びに途上国のオーナーシップを重視し、ハード・ソフトの両面で中央から地方まできめ細かく支援をしてきたJICAの開発協力の経験が活用可能です。こうした経験を活用し、世界と連帯した協力の展開により、平和と繁栄の礎である人々の健康の促進を図り、自由で開かれた国際秩序の維持・構築に貢献することには大きな意義があります。

ポジションペーパー

SDGsポジションペーパー

主要な取り組み

感染症や母子保健等の従来の課題に加え、非感染性疾患や精神疾患など多くの新たな健康課題が途上国の負荷となっている中で、日本の持つ優位性を最大限に活用し、「JICA世界保健医療イニシアティブ」の予防、治療、検査・研究の3本柱を中心とした協力に集中すべく、以下(1)~(4)のクラスターを設定します。ワクチンの開発・普及は、情勢の変動により目標や協力の予見性が低いためクラスターとしませんが、重要な分野として国内外の動向を引き続き注視し、状況に応じた協力を鋭意進めます。

(1)中核病院診断・治療強化クラスター

1)中核的な病院約100か所の新増設・拡充や医療人材の育成を通じた医療提供システムの強化、2)COVID-19による重症化や死亡を防ぐためのケースマネジメントの強化、3)遠隔医療技術を活用した集中治療の強化等に取り組みます。

(2)感染症対策・検査拠点強化クラスター

既存のネットワークも活用し、1)感染症検査・研究拠点の新増設・拡充や専門人材の育成、2)COVID-19の検査体制の整備を通じた感染者の早期発見や接触者追跡の強化、3)国境水際対策の強化等に取り組みます。

(3)母子手帳活用を含む質の高い母子継続ケア強化クラスター

感染症等の健康リスクに脆弱な母子を守ることは、イニシアティブにおける予防強化の観点からの最優先事項である。母子手帳等の活用も促進しつつ、妊産婦・子どもに質の高い保健サービスを継続して提供する体制の強化を目指します。

(4)医療保障制度の強化クラスター

上記(1)~(3)のサービス提供に加え、アクセス改善に資する財政面の強化のため、医療費負担を社会が共有する政策・制度の構築・拡充を支援し、コミットメントの高い国に対し実行を後押しする開発政策借款等の資金協力も行います。
この他、「高齢化対策」は、現時点ではクラスターとしませんが、将来のクラスター候補とします。日本の経験を活用し、国の制度整備やコミュニティにおける高齢者支援の仕組みづくりと運用に、セクター横断的に取り組みます。