民間セクター開発

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グローバル・アジェンダの目的

民間企業の成長、すなわち民間セクター開発は、自立的な経済成長および雇用の創出・拡大や国民の所得向上の源泉であり、国の財政(歳入)を支える土台にもなっています。開発途上国では経済成長のボトルネックとして、民間企業がコントロールできない外部環境(産業・投資政策及びビジネス環境)の整備や、企業成長の基盤にあたる基本的な知識・技術・ノウハウ等の習得や人材育成などの課題があるため、このような公的部門の介入を必要とする課題への対応・支援とともに、資金ギャップ等への対応を通じ、現地民間企業の育成・競争力強化、イノベーション、投資促進・産業振興等を推進し、持続可能で質の高い成長の確保を目指します。また、現地企業と日本企業の協働・連携関係の強化により、開発途上国と日本の双方の経済の強靭化を目指します。

背景と課題

(1)経済成長の現状(地域別の概観)

アフリカ

多くの国が一人当たりGDP成長率、所得水準の両方が低い状況です。一方で、新型コロナウィルス感染拡大の影響も含め逆境をチャンスに変え、社会課題解決に貢献するスタートアップが続々と誕生しています。ベンチャー投資も増加していますが、一般的に金融アクセスの問題が大きな制約となっています。

アジア

新型コロナウィルス感染拡大前は、一人当たりGDP成長率は一定程度を維持し、中所得国入りが近い国もありました。特に、ASEAN地域は人口ボーナス(人口に対する労働力が豊富な状態)が終焉を迎えつつあり、中所得国の罠に陥らないよう産業の一層の高度化が必要です。

中南米および中東

新型コロナウィルス感染拡大の前から経済成長は停滞気味であり、中南米は所得格差、中東は失業率の高さが課題といえます。

(2)新しい産業振興

全世界的に、伝統的な製造業を軸とした段階的な産業振興のモデルが大きく変化しています。産業のデジタル化およびグリーン化が、新型コロナウィルス感染症拡大もあり、加速化しています。このように大きく変化する環境に適応する新たな産業振興が見られるようになっています。

(3)観光関連産業の振興

観光産業は外貨獲得、関連業種の幅広さや雇用吸収能力など等から、開発途上国の多くで有望な産業ですが、新型コロナウィルス感染拡大で最も深刻なダメージを受けており、持続可能でレジリエント(危機回復力のある)な観光産業となることが求められています。観光業の振興は、経済面のみならず、人類共有の財産の保持、地域の誇り・アイデンティティの確保といった面からも重要です。

(4)日本・JICAが取り組む意義

日本の発展の基礎は明治の近代化や戦後の産業発展の経験にあり、いわゆる分厚い中間層の創出につながった歴史と経験は、多くの開発途上国が高い関心を持っています。特にカイゼンを代表とするノウハウやミドルマネジメント人材を含む産業人材育成、中小企業振興政策等に対する支援ニーズは高いです。製造業中心の労働集約型産業から段階的に高次化する伝統的産業発展モデルが変化してきている中で、「三方よし」や人を大切にする日本型経営は、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)やESG投資(環境・社会・ガバナンスに配慮した投資)の流れもあって再評価されています。一方、開発途上国のDX(デジタルトランスフォーメーション)に対する適応力など、日本が開発途上国に学び、リバースイノベーションの導入・共創を目指すことも重要です。

課題別指針

SDGsポジションペーパー

主要な取り組み

開発途上国の持続的経済成長の源泉である民間企業の成長を促し、ボトルネック解消に向け、起業家・企業育成、投資促進・産業振興、持続可能な観光開発に取り組みます。中でも、以下の3つのクラスターを多様な協力パートナー等と連携し重点的に推進します。

(1)アフリカ・カイゼン・イニシアティブ

AUDA-NEPAD(アフリカ連合開発庁)との覚書に基づき、1)政策レベルでの啓発、2)センター・オブ・エクセレンス(普及拠点)の整備、3)カイゼン活動の標準化、4)ネットワーク化を推進します。2020年よりカイゼンに経営全般と金融アクセス支援も加えた包括的企業支援を展開しています。

(2)ビジネス・イノベーション創出に向けた起業家支援(NINJA)

ビジネスとして社会課題の解決を図る起業家の育成を促進します。日系企業を含む海外企業と連携を図りつつ、イノベーション・DXの推進を通じ、SDGs達成に貢献する取組を、Project NINJA(Next Innovation with Japan)として推進します。

(3)アジア投資促進・産業振興

日系製造業を中心にサプライチェーンがあるアジア地域で、投資環境改善等の取組を通じた海外直接投資(FDI)の呼込みと、産業振興策による現地取引企業の能力強化に一体的に取り組みます。