民間セクター開発

【民間セクター開発】

課題の現状

開発途上国の経済成長の原動力となるのが民間セクターです。製造業等の第二次産業は、途上国の経済成長の原動力として重要な役割を果たしています。製造業には、外国との交易性(輸出)、技術革新の可能性、雇用吸収力(未熟練労働を含む)、労働者一人あたりの付加価値の高さ、関連バリューチェーンにおけるサービス産業の豊富さといった特長が総合的に含まれ、その振興は経済成長を指向する産業政策の要と考えられます。

アジアをはじめとする途上国の工業化は、日本など先進国企業が生産拠点・部品調達先を途上国に移転し、バリューチェーンを形成することによって促進されてきました。途上国の製造業振興において外国直接投資が果たす役割は大きく、また、裾野産業や中小企業の振興は、海外直接投資の効果波及(バリューチェーン形成)、実践を通じた産業人材の育成、雇用の吸収と幅広い階層の所得向上を通じた包摂的な経済成長の観点で重要です。

他方、近年の製造業は、情報通信技術や人工知能との融合が加速して第四次産業革命(Industry 4.0)とも呼ばれる状況にあり、途上国においても、先進国が辿った経路を跳躍した技術革新や、途上国の実情に即して導入・普及した技術の先進国への逆流(reverse innovation)にも注目が集まる状況にあります。また、観光産業も、国内資源を活用した外貨獲得、関連業種の幅広さ、雇用吸収力等の点で経済波及効果が高く、世界的な交通網の発達等もあって多くの国で有望な産業となっています。このような世界の産業の潮流に十分留意しながら、関連SDGsの達成に向けて支援に取り組むことが課題となっています。

JICAの方針

民間連携事業や中小企業海外展開支援、大学連携等、国内機関を含めたJICA全体の取組みとの有機的な連携を図りながら、日本の企業や研究機関等の知見・経験が途上国の民間セクター開発に活かされ、双方が恩恵を得られるような触媒の役割を果たしていきます。

アジア地域では、市場規模が大きく日本企業との関わりも強い国を重点国とし、日本企業の知見も活用のしながら、現地企業の成長と産業人材の育成を支援するとともに、現地・日本企業間のリンケージの強化に取り組みます。あわせて、外国直接投資・輸出促進、ビジネス環境改善等の要素を的確にデザインした産業政策の立案・実行のための政策対話に取り組みます。また、日本人材開発センターの所在国では、経営人材の育成を促進しつつ、現地における現地・日本企業の人的・情報ネットワークの拠点として同センターを強化していきます。

アフリカ地域では、民間連携事業や中小企業海外展開支援、ABEイニシアティブ(アフリカの若者のための産業人材イニシアティブ)帰国生等の効果的な活用を図りながら、カイゼンや中小企業支援関係の既存のプロジェクトを核として、企業の包括的な能力(Firms Capabilities)向上や、起業を技術面・資金面で包括的に支援するための枠組みの構築に取り組みます。また、NEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ)との「カイゼン・イニシアティブ」の協働を通じ、アジアや中南米の生産性向上機関や世界銀行等の国際機関と連携しつつ、起業・企業支援の取組の共有や、カイゼン手法の標準化と普及に努めます。

課題別指針

ポジションペーパー

国際社会・開発協力の動向

2013年に開催された第5回アフリカ開発会議(TICADV)で採択された「横浜宣言2013」では、「民間セクター主導の成長の促進」が大きく掲げられ、日本政府の支援策としても「経済成長の促進(民間セクター、貿易投資)」が表明されました。その後、2016年8月の第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)では、「ナイロビ宣言(2016-2018)」として「経済多角化・産業化を通じた経済構造改革の促進」が3つの優先分野のうちの一つとして明記され、民間投資、起業、ビジネス改革、イノベーション、官民連携、資金へのアクセスの増加を含む民間セクターの役割の強化に取り組むことが表明されています。

また、2015年の第3回開発資金国会議で採択された「アディスアベバ行動目標」では、国際社会に対し、SDGsの達成に必要となる「数兆ドル」を動員するため、公共セクター以外の資金源にも目を向けることが提言され、途上国への資金フロー全体の中でODAが占める割合が相対的に低下する中、ODAの触媒機能を最大化し、途上国自身の国内リソースや民間投資をはじめとした多様な外部リソースを開発資金として動員・増加させることも重要になっています。

こうした流れの中で、民間企業をはじめとする関係者との連携を図りながら、アジア・アフリカを始めとする開発途上国の経済成長の原動力として、民間セクターの成長発展を促進することの重要性はますます高まっています。

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