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理事長あいさつ・活動内容

ごあいさつ

国際協力機構 理事長 田中 明彦
2024年は、日本が1954年にコロンボ・プランに加 盟し政府開発援助(ODA)を開始してから70年となる 節目の年です。世界では、ロシアのウクライナ侵略やイ スラエルとハマスの武力衝突など、世界の平和は脅か され、自由で開かれた国際秩序は大きな脅威にさらさ れています。気候変動の影響は年々深刻さを増し、感 染症の脅威、債務問題といった課題も加わり、日本を 含む世界は、これらが複雑に絡み合う危機に直面して います。その結果、2030年を期限とする持続可能な開 発目標(SDGs)の達成も危ぶまれています。 2023年6月に改定されたODAの指針である開発協 力大綱は、引き続きわが国のあらゆる開発協力に通底 する指導理念として人間の安全保障を掲げました。人 間の安全保障とは、すべての人々が恐怖と欠乏から免 れ、尊厳を持って生きる権利が保障される社会づくりを 進めるという考え方です。人間の安全保障への脅威となっている各種の危機を克服するためには、多くの国 や組織がそれぞれの強みを持ち寄り、新しい解決策や 価値を共創しながら、連帯して取り組む必要がありま す。こうした取り組みが国際秩序の維持のための連帯 感を醸成し、最終的に平和で繁栄した世界につながる と考えています。

このような認識の下、JICAは、人間の安全保障の理 念に基づき、開発途上国の社会課題を解決し、質の高 い成長を通じた持続可能な世界の実現を後押しすべ く、共に考えながら日本の強みを生かした協力を続けて いきます。2023年度は、国内外の情勢変化を踏まえ、 特にウクライナの復旧・復興支援、民間企業との連携に よる気候変動対策、国内でも開発途上国と日本の地方 自治体などとの結びつきを強化する事業や共生社会の 実現に積極的に取り組みました。加えて、インドなどに おけるコロナ禍後のインフラ事業の順調な進捗もあり、支出額ベースで史上最大の協力実績となりました。

またJICAは、開発途上国のSDGs達成に協力する 組織としてサステナビリティを推進する役割も極めて大 きいと考え、2023年11月に「JICAサステナビリティ方 針」を策定しました。JICA自身の組織運営も見直し、 サステナビリティ経営を推進していきます。

今後も、さまざまなパートナーとの共創を進め、日本の強みを生かした魅力的な協力パッケージを積極的に提案していく所存です。また関係者の安全対策を徹底してまいります。こうした取り組みを通じ、人間の安全保障の実現、自由で開かれた国際秩序の維持、世界の日本に対する信頼の向上に貢献していきます。


独立行政法人国際協力機構
理事長 田中 明彦

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