理事長あいさつ・活動内容

ごあいさつ

【画像】現代の世界は混迷の度を増しています。紛争や過激主義、貧困や格差、難民の急増と長期化、感染症や自然災害など、複雑で相互に関連する課題が国境を越えて地球上の多くの人々の命と尊厳を脅かしています。

2015年、国際社会は国連サミットにおいて「持続可能な開発目標(SDGs)」について合意し、開発の恩恵から誰一人取り残さない世界の実現に向けた一歩を踏み出しました。ここには、日本が唱導してきた「人間の安全保障」の考え方が随所に盛り込まれています。SDGsへの取組は、国際社会で我が国が存在感とリーダシップを発揮する、またとないチャンスです。それだけに、日本のODAを実施する総合的な開発協力機関である私たちJICAの責任は重大です。

他方で、2016年には、Brexitやトランプ米大統領の選出など、世界の流れを大きく変えかねない出来事がいくつも起こりました。世界とのつながりの中で生きる日本にとって、世界が平和で安定し、繁栄することは、死活的に重要です。しかし、今、第二次世界大戦後続いてきた基本的人権、自由、民主主義、法の支配などの普遍的な原則に基づく国際協調は、大きな岐路に立たされています。

このような状況において、日本とJICAが果たしうる役割は今まで以上に大きいと考えます。われわれは、相手国の立場を尊重しつつ、対等な関係で相互に学び合う姿勢を貫いてきました。今後は、この姿勢をより明確な国際協力の哲学として戦略的に打ち出し、自由で平和かつ豊かな世界をめざして、国際協調を促進していかなくてはなりません。

さらに、日本の経験や知見を、世界の貧困削減や経済成長に活用できれば、日本の存在感は高まります。JICAは、日本政府、地方自治体、民間企業、市民社会、大学・研究機関など様々な方々と連携した開発協力の実施を通じ、地方を含めた日本自身の成長発展にも資する国際協力を進めていくことが重要です。

かかる認識に立ち、JICAは「世界を信頼でつなぐ」をキーワードに、新たなビジョンを定めました。信頼は、日本の開発協力の根幹をなす概念です。常に相手の立場にたって共に考える姿勢で臨む協力により、国内外の幅広いパートナーとの信頼を育む。人や、国、企業が持つ、さまざまな可能性を引き出し、より良い社会を築いていく。そして、人びとや国同士が信頼で結ばれる世界を作り上げていくことを、JICAは目指していきます。

2016年7月に、バングラデシュで発生した「ダッカ襲撃テロ事件」にて、同じ志をもって国際協力に尽力されていた7人の大切な方々の尊い命が奪われました。このような痛ましい事態を二度と繰り返さぬよう、強い決意のもと、安全対策強化に向けた措置を一つ一つ実施してきております。今後も、事業関係者の安全第一に、安全対策の不断の見直しと改善に、最大限、取り組んでまいります。

日本の皆様からの信頼と世界に対する責任をあわせ持ち、日本を代表する開発協力機関の理事長として強い使命感をもって業務に臨む所存ですので、一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

国際協力機構(JICA)
理事長 北岡伸一

田中前理事長(2012年4月〜2015年9月)の活動内容はこちら

緒方元理事長(2003年10月〜2012年3月)の活動内容はこちら