理事長あいさつ・活動内容

ごあいさつ

【画像】JICAの理事長に就任し、3年が経過しました。この間、英国のEU離脱決定、米国のトランプ政権の誕生、一帯一路構想に見られる中国の台頭など、世界の秩序に大きな影響を及ぼす動きが世界の各地で見られます。第二次世界大戦後に続いてきた国際協調体制は大きな岐路に立たされています。

一方で、紛争や過激主義、貧困や格差、難民の急増と長期化、感染症や自然災害など、複雑で相互に関連する課題が、国境を越えて地球上の多くの人々の命と尊厳を脅かし続けています。世界とのつながりの中で生きる日本にとって、世界が平和で安定し、繁栄することは日本の国益そのものであり、そのための国際協力は日本の存立と不可分です。

この意味で、2015年の国連サミットにおいて合意した「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現に向けた取り組みは、国際社会で日本が存在感とリーダーシップを発揮し、国際協調体制を維持発展させていく、またとないチャンスです。それだけに、日本のODAを実施する総合的な開発協力機関である私たちJICAの責任は重大であり、国内外の様々な立場の方々とともに、開発の恩恵から誰一人取り残さない世界の実現に向けた国際協力に積極的に取り組んでいく所存です。

JICAは、人間の安全保障と質の高い成長を国際協力活動の任務とし、その実施に際しては、相手国の立場を尊重しつつ、対等な関係で相互に学び合う姿勢を貫いてきました。今後も、「信頼で世界をつなぐ」というビジョンの下、人々や国同士が信頼で結ばれる世界を作り上げていくことを目指します。同時に、国際協力は、日本自身の成長発展にも資するものでなければなりません。日本の経験や知見を、世界の貧困削減や経済成長に活用できれば、日本の存在感は更に高まります。JICAは、日本政府、地方自治体、民間企業、市民社会、大学・研究機関など様々な方々と連携した開発協力の実施を進めていきます。

その中で重視しているのが、「JICA開発大学院連携」です。日本は非西洋から先進国となった最初の例であり、伝統と近代を両立させ、自由で豊かな民主的な国を作り上げた、途上国の発展のベストモデルの一つです。また、日本のODAはアジアを中心に途上国の発展に大きく貢献してきました。こうした経験や知見から、日本は世界の中で開発学をリードする国となり得ると考えます。「JICA開発大学院連携」では、開発途上国の発展を支えるリーダーとなる人材を日本に招き、国内の大学と連携しつつ、欧米とは異なる日本の近代の開発経験と、戦後のドナーとしての知見の両面を学ぶ機会を提供します。

2016年7月に、バングラデシュで発生した「ダッカ襲撃テロ事件」にて、同じ志をもって国際協力に尽力されていた7人の大切な方々の尊い命が奪われました。このような痛ましい事態を二度と繰り返さぬよう、今後も、事業関係者の安全第一に、安全対策の不断の見直しと改善に、最大限、取り組んでまいります。

2018年10月、JICAが日本の政府開発援助(ODA)を一元的に担う「新JICA」になってから、10年の節目を迎えました。これからも、日本の皆様からの信頼と世界に対する責任をあわせ持ち、日本を代表する開発協力機関の理事長として強い使命感をもって業務に臨む所存ですので、一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2018年10月1日

国際協力機構(JICA)
理事長 北岡伸一

田中前理事長(2012年4月〜2015年9月)の活動内容はこちら

緒方元理事長(2003年10月〜2012年3月)の活動内容はこちら