理事長あいさつ・活動内容

ごあいさつ

強固な信頼に基づく国際協力で、より強靭な社会へ

【画像】JICAは「人間の安全保障」の実現を二大ミッションの一つとして、開発途上国の発展に協力してきました。しかし、新型コロナウイルスの感染が世界に広がり、経済的に豊かな国々でも猛威を振るい、医療崩壊を招き、さらに人々の暮らしや経済に対して甚大な被害をもたらしています。この出来事は、世界大恐慌や第2次世界大戦にも匹敵し、世界の構造に大変革をもたらす可能性があります。一方、この世界の変化は、新型コロナウイルスによってのみもたらされたものではなく、以前より生じていた変化が加速化しているものだともいえます。私たちはこの危機をさまざまな変革や改善につなげる好機ととらえ、より公正で強靭な社会をつくるために果敢に取り組まなければなりません。

新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年1月以降、JICA事業も影響を受けました。109カ国に派遣していた海外協力隊員や専門家は、現地の医療事情や交通状況などを勘案して一時帰国させざるを得ませんでした。しかし、在外事務所長、次長など多くのJICA職員は現地に残り、現地職員と一丸となって、先方政府との協議をオンラインで行うなど工夫を凝らしながら協力継続に尽力してきました。また、経済的な影響の緩和のため、緊急財政支援を実施するとともに、コロナ対策支援のため、医療資機材などの供与、医療従事者に対するトレーニングなどの協力を迅速に行っています。2020年8月からは、事務所員を中心に現地に戻りつつあります。開発途上国の社会・経済に対する包括的な協力を通じて、新型コロナウイルスが甚大な被害をもたらさないように一層の取り組みを進めています。

新型コロナウイルスとの闘いは今後も続くでしょう。ウィズコロナ、ポストコロナの世界においては、国と国との相互の信頼、つながりを維持・発展させることが必要です。JICAは、日本のODAの一元的実施機関として、開発途上国との間に築いた長年の信頼関係を発展させ、より強靭な社会を構築するために一層大きな役割を果たさなければなりません。

脆弱性が露呈した開発途上国の保健医療分野については、これまでの協力の成果を生かしつつ、人々の命を守るための包括的な協力を展開します。科学的知見や日本の経験、最先端技術を生かし、保健医療施設の整備、保健医療体制の構築さらには人材育成を含め、世界中で強靭な保健医療システムを構築していきます。あわせて、水・衛生施設の整備や手洗い励行、栄養改善など、これまでも実施してきた予防面での協力も行い、感染症に強い社会づくりにも力を入れていきます。

国内外の移動の制約は当面続くものと思われますが、JICAが長年の協力を通じて培ってきた世界各地の人財や組織とのネットワークを最大限に活用しながら、創意工夫を凝らした協力を積極的に展開していきます。また、このような時期だからこそ、日本への留学生の受入れや外国人材受入促進支援は、感染拡大防止に慎重を期しつつ大胆に行います。

JICAは、「信頼で世界をつなぐ」というビジョンの下、国際機関、大学・研究機関、地方自治体、NGO、民間企業など多様なパートナーと連携を強化しながら、あらゆる方策を通じて開発途上国の発展、ひいては世界の安定と日本の繁栄のためにこれからも最善を尽くしていきます。

2020年9月
国際協力機構理事長
北岡伸一

田中前理事長(2012年4月〜2015年9月)の活動内容はこちら

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