水資源

水資源

水は人間が生きていく上で不可欠なものです。

飲料水としてのみならず、食糧生産に必要なものとして、さらには生計を確保するための種々の経済活動に必要なものとして、直接的・間接的に人間の生存を支えるものです。しかし現実には、多くの人々が水不足に直面しています。未だ多くの人々が汚染された飲み水に頼らざるを得ず、後述する衛生改善の停滞とあいまって、伝染病の発生と高い死亡率につながっています。その他、洪水被害や食糧難等により、特に開発途上国における貧困層の多くがその生存を脅かされています。

しかしながら、人間が利用可能な水資源には限りがあります。地球は「水の惑星」と呼ばれていますが、地球上の全水量のうち淡水は2.5%、その大部分が極地の氷であるため、比較的容易に利用できる河川水や湖沼水はわずか0.01%です。

一方で、水需要は増え続けています。
2030年には全世界で、水需要に対して利用可能な水資源量は40%も不足するという報告もあり、特に開発途上国においては、人口増加が続く中で水資源に係る問題は急速に深刻化しています。多くの開発途上国が、増大する水需要を調整しつつ、限りある水資源を国民の生存のために、国の発展のために、そして自然環境の保全のために、いかに配分するかという極めて困難な課題に直面しています。

【図】

2030年には水需要に対して水資源は40%不足。
(出典:The 2030 Water Resources Group"Charting Our Water Future")

他方、水と密接に関連しているのが衛生の問題です。
途上国における乳幼児の主要な死亡原因として下痢症が挙げられます。下痢症の多くは、糞便から排出される病原菌の感染によるもので、糞便を生活環境から隔離するための衛生施設(トイレ)の整備が非常に重要となります。それに加えて、排便後の手洗い等衛生的な行動が伴うことにより、感染経路を遮断することができます。つまり、衛生施設は病原菌による地下水や表流水の汚染を防ぎ、飲み水を安全に保つために不可欠で、その一方で、手洗い等の衛生的な行動には水が不可欠であるという相互補完関係にあるため、疾病の減少には給水と衛生を同時に改善していくことが極めて重要だと言えます。しかしながら、基礎的な衛生施設へのアクセス改善は遅れており、国際社会の責任が問われています。

日本は戦後の経済成長の中で、洪水や渇水を克服しながら、上下水道を着実に整備し、衛生的な社会を作りあげてきた経験があります。その一方で、日本は水の大量消費国であり、さらに農産物という形で、その生産に要した他国の水資源(仮想水と呼ばれる)を大量に輸入しているため、開発途上国の水・衛生問題の解決に携わることは日本の責務であると言えます。

【写真】共同水栓の水を飲む子どもたち(エチオピア)

共同水栓の水を飲む子どもたち(エチオピア)