外国人材受入れ・多文化共生支援

【画像】

誰一人取り残さない日本・世界の実現に向けて

日本で働く外国人労働者の数は1990年代から徐々に増加し、2022年には約182万人と過去最高を更新しました(2012年から約2.7倍に増加)。少子高齢化を背景に労働力不足が懸念される中、日本が目標とする経済成長率を維持するためには外国人労働者の受入れがますます必要と言われています。しかしながら、2030年には約419万人の需要に対して63万人が不足するという試算*¹も出ており、より多くの外国人労働者に日本を就労や生活の場として選んでもらう必要があります。

*1出典:『2030/40 年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書』JICA 緒方貞子平和開発研究所(2022)

また、日本に来る労働者の多くは主に東南アジアなどJICAが長年にわたり開発協力を行ってきた国々出身です。これら送出国側にとっても、自国民が海外で得たお金や技術を母国に持ち帰ってもらうことは自国の経済発展にも貢献することであり、「開発」の観点からも労働者の海外への送出促進がより重視されてきています。他方、これら「移住労働者」は脆弱な立場におかれることも多く、様々な人権侵害のリスクも抱えています。

JICAはこれまでの開発途上国への支援で培った各国との信頼関係や人材育成のノウハウ、人間の安全保障の取り組みの経験を活かし、労働者の海外送出促進による各国の経済発展への貢献と移住労働者の課題解決、および日本での適切な労働者受入れの取り組みを推進すべく、以下の3つの柱のもと、外国人材受入れ・多文化共生における取組を進めてまいります 。

外国人材受入れ・多文化共生におけるJICAの取組み~3つの柱~

1. (送出国・日本双方の)
経済成長ための人材育成

2. 移住労働者の人権尊重

3. 外国人材との共生社会構築

多文化共生・外国人材受入寄附金

JICAは2023年9月、全ての人が、国籍に関係なく、安全に安心して、差別や偏見なく暮らすことができ、多様性に富んだ活力ある日本・世界を実現するため、『多文化共生・外国人材受入寄附金』を創設しました。お預かりした寄附金は、NGO、民間企業、地方自治体等のパートナーと連携した活動や、日本に対する適正な労働者の送出しの促進を目的とした開発途上国と術協力事業の推進のために活用いたします。

責任ある外国人労働者受入れプラットフォーム

JP-MIRAIは、日本国内の外国人労働者の課題解決に向け、2020年11月に民間企業・地方自治体・NPO・学識者・弁護士・JICAなど多様なステークホルダーが集まり、設立されたプラットフォームです(2023年6月以降は一般社団法人JP-MIRAIが事務局を運営)。会員数は増加傾向にあり、2023年11月時点で681団体/人になっています。
このプラットフォームを基本とし、2022年に開設した9言語対応のポータルサイトやアプリを通じて、外国人労働者に対し日本での暮らしや就労に役立つ情報を提供しています。また、2022年5月には「JP-MIRAIアシスト(相談窓口)」を開設し、労働・在留・生活上の困りごとを9言語で受け付けています。更に2023年9月からは、外国人労働者が人権侵害や法令違反を受けていないか自己判断するオンラインツール「JP-MIRAIセーフティー」の運用を開始しており、利用を呼び掛けるための「外国人労働者の人権をまもるキャンペーン」も実施しています(2023年9月1日~2023年11月30日)。JICAは事務局のサポートなどを通じ、これらの取り組みを支援しています。

JP-MIRAI

(注)主として外国人材受入れに関わる企業・団体、個人の方向け

(注)主として日本で働く(働きたい)、暮らす(暮らしたい)外国人の方向け

外国人との共生社会の実現に向けた調査研究

JICA 緒方貞子平和開発研究所が2020年3月に発表した「2030/40 年の外国人との共生社会の実現に向けた取り組み調査・研究報告書」には、主に2つの研究結果が示されています。
ひとつは、将来の外国人材受け入れに関するシミュレーションです。
日本においてGDP・経済成長(目標GDP: 年平均成長率1.24%)を維持するために必要な外国人労働需要量と、送出し国である東南アジア諸国の外国人労働供給ポテンシャルを、各国の将来の人口動態と経済水準、過去の入国者数のトレンドを考慮して推計し、2030年と2040年時点の日本における外国人の受け入れ人数などを試算しました。
その結果2040年、外国人労働需要量674万人に対し、外国人労働者数の供給ポテンシャルは632万人で、42万人が不足すると予測されました。

将来の外国人受入れに関するシミュレーション

外国人の労働者の需給ギャップ

【画像】

日本国内における外国人を取り巻く現状と受け入れ人数の予測結果を踏まえ、将来の地方での産業や社会の変化に沿った外国人との共生のあり方についても調査・分析しました。
2030年時点で10%を超えるのは東京のみですが、2040年には東京に加え東海地方などの9都県で10%を超えるとされます。

【2040年の外国人労働者数(対生産年齢人口比率)】

【画像】

これら研究結果は、日本の女性や高齢者の社会進出も考慮した上で、生産年齢人口が減少し続ける日本が国として成長していくには、日本人と外国人が共に社会を創っていくことが不可欠であるということを、目に見えるデータで示しています。

将来の外国人との共生の在り方に関する検討

もうひとつは、日本国内における外国人を取り巻く現状と受け入れ人数の予測結果を踏まえ、将来の地方での産業や社会の変化に沿った外国人との共生のあり方についての調査・分析です。研究報告書には、外国人労働者を受け入れる自治体の支援体制が十分確立されていないなどの課題も示されています。これらの課題の解決アプローチとして、多文化共生社会を支える外国人、日本人双方の「キーパーソンの育成」が挙げられています。

【画像】

【画像】

外国人と日本人住民の橋渡しを行うキーパーソンの育成が重要

その他関連する情報

お問い合わせ

独立行政法人国際協力機構(JICA) 国内事業部 外国人材受入支援室
メール:tagfr1@jica.go.jp